城戸探偵事務所、高成は半分目を開けたまま新聞を読んでいる。
暇すぎる…
殺し屋を解決した後の数日間、システムにはまだ動きがなく、探偵事務所にもいい依頼がない。
彼はシステムが引き出す道具カードを研究してみたいのだが、木刀と違って、偽装カードは使い捨てで、研究する余裕がない。
せめてもう少しお金を稼いだり、もう一枚引いたりしたいと思っている。
彼とは違って、毛利小五郎は不倫調査中に殺人事件に遭遇していた。
新聞に「眠れる毛利小五郎」に関する記事を読んで、高成は不審に口をへの字に曲げる。
しかし、犯人は彼と剣を競う約束をしたばかりの諏訪雄二だった。
新聞の説明によると、事件の原因は、被害者が抵当に入れた名刀「菊千代」を売却したことらしい。
諏訪雄二は、先祖伝来の宝を買い戻すためにお金を持って行ったが、被害者から冷笑と嘲笑に遭い、我慢できずに一時的な衝動で被害者を切りつけた。
本当にもったいないことだ……
「チリーン!」
そのとき、ドアベルの音が突然鳴った。
「依頼が来たのか?」高成は急いですぐにテーブルを片付け、ドアを開けて客を迎え入れ、「こんにちは、こちらは城戸探偵事務所です!」
「こんにちは。」
ドアに現れたのは、豪華な服装の貴婦人で、何か素材の帽子をかぶり、服やアクセサリーも高そうである。
これは大きな仕事が来た!
高成は熱心に貴婦人を席に招き、お湯を入れて言った。「奥様、良い目をお持ちで、私はこの辺で一番優れた探偵です。何かあれば、必ず解決できます!」
「ありがとうございます。」貴婦人はあまり表情を変えず、水も飲まず、カバンから写真を取り出して言った。「実は、うちのケイちゃんという猫がいなくなってしまったのですが、城戸探偵が見つけてくれると思って、お願いしに来ました。」
「猫?」高成は顔を強ばらせながら子猫の写真を受け取り、恥ずかしげに言った。「すみませんが、実は最近わたし……」
「20万。」貴婦人は無表情でカバンからひと山の紙幣を取り出した。
……
米花町の角、高成は人ごみを避けてこそこそと忍んでいる。
金には抵抗できない、本当に厄介なものだ……。
周りを注意深く見回し、高成はシステム画面を開き、以前引いた偽装カードを使用することにした。
彼はこのカードの効果がとても気になるが、手持ちがゆるくなく、余分なお金もなく、カードの使用をためらっている。
彼は委託者がこんなに気前のいい人に会ったことがなく、ただでさえ猫を見つけるのに20万円出してくれる。
「パンッ!」偽装カードが効果を発揮し、白い煙が一瞬で高成を覆い始めた。
「うん?」
煙が晴れた後、高成はぼんやりと周りを見て、自分が小さくなっていることに気付いた。細い腕や細い脚、服も一式入れ替わっている。
「子供?」
本当に子供になった!
高成は小さくなった顔をつねって、呆然としていた。
怪盗キッドが子供に変装することは聞いたことがないし、そもそもこんなことは変装できないだろう。コナンの中では、工藤新一が小さくなってしまうケースだけだ。
10万円の使い捨ての偽装カードで、効果はたしかに価値がある。
システムの説明では3日間しか持たないとのことで、高成は遠慮なく、すぐに貴婦人が提供した情報に基づいて街頭で猫を探し始めた。
やっぱり子供の体を使うのはなんだか独特の感じだね、まるで世界が変わったかのよう。しかも堂々と道路を歩いていても、猫を探す彼に誰も気にかけないだろう。
しかし、このカードはむしろ商業調査や不倫調査などの依頼に向いているだろう。
……
時間がどんどん遅くなり、黄昏時になったとき、高成はついに廃棄倉庫でケイちゃんと呼ばれる貴族猫を見つけた。
「まったく、猫探しのプロになりそうだね。今までにも10回くらいはあるだろう」と高成は子供の柔軟な体で容易にケイちゃんを倉庫から抱え出し、しかし探偵事務所に戻ろうとしたとき、道路の反対側にコナンがいるのを見つけ、歩美たちもいた。
このやろうども、何してるんだ?
疑問を覚えながら挨拶しようとしたが、自分がすでに他の身分になっていることを思い出しあわてて口に出そうとした声をのみこむ。
「皆さん、何してるんですか?」高成は見知らぬ人を装って、ケイちゃんを抱えながら集まった人々の後ろへ行って聞いた。
「あの家の中で死体を見つけたんだよ!」元太は前の家を見つめながら無意識に答えたが、すぐに集中して高成を見つめた。
「君、誰?」
「僕?」高成は考え込んで、笑いながら言った、「僕は近くの子供だよ。でも、本当に死体見たんですか?」
「もちろん本当だ!」元太は不満げに言った。「僕たちが見たんだから、あの家のお風呂場に、そして警察ももうすぐ来るんだ!」
「そうなんだ」高成の目が輝いた。ついに仕事が入ってきた。
「でも」歩美が突然近づいてきて、疑わしげに高成を見つめた。「あなた、どこかで見かけたような……」
「何やってんだ、警察が来る前にちゃんと見ておけって……」じっと見守っていたコナンが不満げに振り返ったが、子供の姿になった高成を見てびっくりした。しかし、すぐに目線を戻して家の方を見た。
「そうだ」と光彦が見た。「僕たちは少年探偵団だよ。もし依頼があれば次回にでも」
「少年探偵団?」
高成は顔がおちこんだ。
この小さな悪魔たち、探偵事務所の仕事はますます減っているのに、さらに侵入し、何よりコナンもこの小さな悪魔たちと一緒にいるのだ。
「うーっ!」しばらくすると、数台のパトカーが次々と現れ、目暮警部のおなじみの姿が高成の前に現れた。
「電話で通報したのは君たちか?」目暮は疑問を持って尋ねた。「本当に死体がみつかったのか?」
「それは」とコナンは重い口調で言った。「僕たちは死体があることを確認した後、誰もその家に入ったり出たりしていない。つまり、死体はまだその中にいるはずだ!」
一行は事件現場の家に集まり、高成もコナンたちについて行った。警察は彼が一緒にいる子供だと思い、気にかけていなかった。
髭の男が浴衣を着てドアを開けたが、警察に不満げに家の中を調べさせた。
だが、コナンたちが最初に死体を見つけたお風呂場には何も変わってなく、死体が消えてしまった。
「ほら、君たちが見てみろ」と男が言った。「どこに死体があるんだ?絶対にこの小鬼たちがふざけているんだろ!」
高成は男にまかせてお風呂場をじっくり見た。
何の跡もないが、コナンが嘘をつくとは思えない、死体はたぶんこの男に隠されているのだろう。
目暮警部も諦めていなかったようで、腕時計を見て言った。「僕たちが通報を受けてから出動するまでに、おおよそ15分、現場を片付けるのに十分な時間があった」
「はぁ!」男が叫び、「君たち疑ってるんなら、もう調べなさい!我々家には非常識なものもないし!僕の弟ももう戻るんだから、何か質問があれば直接彼に聞いてください!」2階に向かって階段を上がりながら、「そんな子供の言っていることを真に受ける馬鹿警察!」と言った。
目暮の顔が歪んでくる。「探せ!死体はまだ家の中にいるはずだ。隅から隅まで抜かりがないように!」
高成は顔をしかめながら、2階に向かう男の姿を見た。
とても傲慢だ。どうしてそんなに自信があるんだろう?この家はそんなに広くないから、すぐに死体を見つけられるはずだ。