1. 迷わないよ

「おい、ハルキ、何ボーっとしてるんだ？もう学校に行こうぜ〜」

ダイチ、ナオヤ、ジュンがいつものように大声でおしゃべりしながら、家の前でクールなポーズを決めて待っている俺に声をかけてきた。俺はにやりと笑い、しっかりと頭を振った。

「ごめん、みんな。でも今日は俺が立派な高校生になった日だ。何のことかわかるか？」俺が軽く肩をすくめると、三人は困惑して首をかしげた。

「つまり...この三年間で、身長がたったの三センチしか伸びなかったってことだろ？」

「たった三センチじゃない、まるまる三センチだぞ！もう身長のことでからかうのはやめてくれ！」俺は顔を真っ赤にしながら友達に叫んで、朝から決めていたクールなポーズが台無しになった。

「ハハハ！」

三人のいたずらっ子たちは大笑いし、お互いにハイタッチをして楽しそうにしていた。彼らは幼稚園のころからの友達で、家も近所にあり、いつも同じ学校に通っている。そして見ての通り、彼らは俺の身長をからかうのが大好きだ。163センチの高校生が何か悪いのか？彼らはたった10〜15センチ高いだけなのに、やたらと偉そうにするんだから！

「ふん、言いたいことは言えよ。今日はもう俺は違う人間なんだから。そしてこれからは俺が自分を変えると宣言する！」

「また変なこと考えてるのか？」

「可哀想に、お母さんが。」

「妹みたいに責任感があればいいのに。」

「うるさい、うるさい！誰かが話してるときに聞いてくれないのか？聞ける？聞ける？」俺は友達に怒鳴った後、高校生らしいクールなポーズを思い出して再び決めた。「俺はもう高校生だ。お前たちみたいに子供っぽいことはしない。俺は変わるんだ。そして新しい自分になるために最初に変えるのは...学校への行き方だ！」

俺は胸を張って誇らしげに宣言すると、友達は驚きのあまり口をあんぐりと開けた。

かっこいいだろ？

「...学校への行き方を変える？頭おかしいのか？」ダイチが尋ねた。

「もう頭がおかしいって知ってるだろ。なんで尋ねるんだ？今日は薬を忘れたかどうかを聞けよ。」ナオヤが口を挟んだ。

「お前たちが頭おかしいんだよ！幼稚園から今まで、毎日同じ道を使ってることに気づかないのか？恥ずかしくないのか？俺たちはもう高校生だ。世界が広がったんだ！」

「でもこの道が一番近いよ。家が近くて、ここから学校の建物が見えるんだぜ。なんで回り道するんだ？」ナオヤが頭をかいた。

「それが問題なんだ。同じことを繰り返すなんてどうかしてるよ。リスクを取って、変わる勇気が必要なんだ。」

「ただ学校への道を変えるだけでリスクがあるのか？」

「この人にとってはリスクだ。迷う可能性が高い。300円賭けるよ、絶対迷うぞ。」ダイチが賭けを始めた。

「500円、絶対迷う。」ナオヤが同意した。

「おい、みんな同じ賭けじゃどうやってギャンブルするんだ？」ジュンが遅れて気づき、眉をひそめた。

「おい、お前ら何を言ってるんだ！学校への道を変えるだけで俺が迷うと思ってるのか？」

「そうだ！」

ほら、みんなが一斉に答える。

「勘弁してくれ。ここに俺の家があって、そこに学校の建物がある。ここから見えるんだぞ。自分の近所で迷うわけないだろ！？」

「そうだ！」

「そんなことない！千円賭けるよ、ベルが鳴る前に自信満々で校門を通り抜けるって絶対言えるから！」