少なくともここまでの道のりで、名古屋中至る所にある自動販売機が一台も見当たらなかった。
彼らは珍しそうにコンビニに入った。コンビニには長椅子があり、普段はカップ麺などを食べるのに使える。北原秀次は一行を座らせると、冬美に温かい飲み物を買いに行かせた。そして自分は携帯電話を取り出して外に向かい、迎えの人が到着したかどうか確認しようとした。到着していれば、ここで合流することにしようと、道端で待っていた。
うつむきながら外に向かっていると、突然声をかけられた。「やぁ、北原じゃない?」
北原秀次は驚いて顔を上げると、白毛領の和服を着て錦織の披肩をまとった三人の少女が立っていた。全く見覚えがなかったが、微笑みながら頷き、携帯電話を指差して急ぎの電話があることを示し、後で話すと合図した——もちろん後で逃げるつもりで、誰だか分からない人たちとは話すつもりはなかった。
しかし彼の微笑みに、三人の少女は呆然となり、一瞬言葉を失ったかのように、ただコンビニを出て外で電話をかけながら周りを見回す彼を見送ることしかできなかった。
三人の少女は少し躊躇いながらコンビニの長椅子に座り、一人が迷いながら尋ねた。「北原さん?」
もう一人も迷いながら答えた。「そうだと思う?一目見た時は彼だと思ったけど、よく見ると違うような気もするけど、でも彼のはずよね?」
「あなたもそう思う?何か前と違う気がするけど、私の気のせいかと思ってたんだけど……」
「かっこよかったよね?」
「うん、かっこよかった。笑顔見た時、心臓が止まりそうだった。」
彼女たちは少し笑い合った後、一緒に仲間の方を向いて冗談めかして言った。「秋日子、北原が大都市に行ってずいぶん変わったみたいだけど、後悔してない?」
秋日子と呼ばれた女生は、ちょうど北原秀次から視線を外したところで、顔に薄い戸惑いの色が浮かんでいたが、すぐに軽蔑的な表情に変わり、冷笑して言った。「後悔なんてするわけないでしょ。どんなにかっこよくなっても、私が振った人よ。ただの本の虫、廃物よ!今は何か急いでたみたいだけど、すぐに戻ってきたら私の前でぺこぺこするはずよ。見てなさい!」
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