第283章 女皇娥英_2

この小僧は表面上いつも笑顔で良い人のように見えるが、腹の中は悪知恵でいっぱいだ。これは罠じゃないのか？雪里のことも好きで、自分の体にも目がくらんでいる。姉妹両方を手に入れようとしているのか？うちに後宮を開こうとしているのか？男子学生はこういうことが好きだが、ほとんどは考えるだけで終わる。でもこの小僧の性格なら、考えたことは実行する。しかも頭が良くて人を陥れるのが上手い。油断できない！

北原秀次は一瞬言葉を失い、「そんな歴史の故事は誰でも知っているよ」と言った。

冬美は不信感を露わにして、小声で尋ねた。「私は知らないけど？」

北原秀次は一時言葉に詰まり、中国ではほとんどの人が知っているが、日本ではあまり知られていないと思い、やむを得ず「図書室の本をたくさん読めば分かるよ...」と説明した。

冬美は彼を上から下まで見つめ、途端に北原秀次の初恋の輝きは消え、どう見ても陰謀家に見えた。彼女は雪里の方を向いて「雪里、あの言葉は彼が教えたの？」と尋ねた。

雪里はすでに思い出していて、激しく頷いた。「秀次が私に読んでくれたの——娥皇娥英、共に一人の夫に仕える！そう、間違いない、思い出した！」

北原秀次は無実を感じ、急いで弁解した。「雪里が本の話を聞きたがったから読んだだけだよ！」

これはお前の父親のせいだ。お前の父親は昔よく彼女に本を読んで聞かせていたから、彼女は中途半端な成句をたくさん覚えてしまった。今お前の父親は亡くなってしまい、彼女は私に読んでもらうしかない！いつそんなものを読んだか覚えてもいないのに！

雪里は自分の記憶力に満足し、もう一度小声で何度か繰り返して確認してから、冬美を抱きしめて楽しそうに言った。「お姉ちゃん、この考えどう思う？これは古代の賢者の知恵の結晶よ。こうすれば私たち三人はずっと一緒にいられる。伝説の三方良しよ！」

彼女は冬美と一緒に生まれ、一緒に育ち、一緒に保育園、小学校、中学、高校に通い、一度も離れたことがなかった。これからもずっと一緒にいられるなら、悪くないと思った——今の生活はとても楽しいじゃない。お姉ちゃんが家を切り盛りし、夫が料理を作る。将来学校に行かなくなったら、生活は本当に楽しくて仕方ないわ！