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第183章 陽子、行きたいの?_2

冬美も疑わしく考え込んで、しばらくしてから尋ねた。「陽子を私の家に隠すのはどう?」

今度は北原秀次が首を振った。一時的に隠せても永遠には隠せない。相手は彼に人を要求すればいい——彼と陽子は長い間一緒に暮らしてきたのだから、どうにかして彼のところまで辿り着けるはずだ。

鈴木希は北原秀次の表情を窺い、軽く笑って尋ねた。「どうしても陽子ちゃんを手放したくないの?神楽家の方がいいんじゃない?陽子ちゃんは神楽家のお嬢様になれるし、あなたも大金を手に入れられる。これは両者にとって良いことでしょう?なぜそんなに拒否したがるの?」

彼女から見れば、陽子は今明らかに価値のある商品だった。北原秀次は陽子と引き換えに巨額の金を得るか、陽子を利用してより大きな利益を求めることができる。どうせ血のつながりもないのだから、これまで面倒を見てきただけでも大きな善行と言える。まさかこの孤児の少女のために関東の権勢者と対立するつもりなの?

神楽家と良好な関係を築くか、何か見返りを得る方が賢明な選択だろう。

そして床に座る「誘拐犯探偵」たちも緊張して北原秀次を見つめていた。彼らはこういう状況を恐れて陽子を誘拐することにしたのだ——もし直接訪ねて話をしたら、北原秀次だって足があるのだから、自分で陽子を連れて行って金に換える方が楽だろう。

鈴木希の言葉を聞いて、北原秀次は一瞬固まり、また考え込んだ。さっきからずっとこの問題について考えていた——陽子を神楽家に行かせるべきか?

前世で彼は孤独だったから、家族が欲しかった。だから陽子を妹として迎え入れたのは本心からだった。彼女が自立して生活できるようになるまで面倒を見るつもりだった。しかし今、陽子には明らかにより良い選択肢がある。より良い教育を受け、贅沢な生活を送り、孤独な捨て子から千金のお嬢様になれる。そうなると、自分の私心のために邪魔をするべきではないのかもしれない。

それに神楽家は家族構成が単純で、親戚程度しかいないから、内部の争いもそれほど激しくないだろう。神楽治纲が鈴木希から伝説的人物と呼ばれるくらいなら、知恵も手腕も十分なはずで、一人の子供を守るのに問題はないはずだ。確かに、止める理由は見当たらない。

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