ローランがベッドから起きた時、すでに外は明るかった。
彼はコートを身にまとい窓辺に歩み寄ると、白一色の建物はすでに各々の色を見せていて、赤瓦灰壁が混ざり合って生命力あふれるまだらな色を作り出していた。部屋の中はまだ冷えているが、日差しに向かうと、ちょっとした暖かさが感じられた。
地上の雪は溶けていた。
書斎に改装したオフィスに入ると、テーブルには今日の朝食が運ばれていた。目玉焼き1つと焼きパン2つ、それに熱湯が1つ。町で暮らしていた頃と変わらず、明らかにナイチンゲールが自分のために用意してくれたものだ。
「ありがとう」ローランは誰もいないリクライニングチェアに向かって言った。
「どうやって私がここにいると知ったの?」ナイチンゲールの姿が徐々に浮かび上がった。
「君が横になることができるなら座ることは選ばないだろう」彼はニッコリ笑い、焼きパンで卵を挟んで口に運び、「それに、椅子の背もちょっとへこんでる。それに気づかない方がおかしいよ」。
「いえ、座るのも好きなんだけど」彼女は身をひょいと動かして、すぐに書画のそばに現れて、台の上に体を跨ぐように座る、「例えば、ここなんか」。
その流れるような動きは見ていて飽きない、とローランは思った。特に、迷霧の中に消えてすぐに出てくる過程は、まるでワープのようだ。
「あなた、ご機嫌のようね。いい夢でも見たの?」
彼女は眉を釣り上げる。「うーん、なかなかいい夢だったわ」
「それならよかった」ローランは「卵のハンバーガー」を数口で飲み込む。「今日は僕と一緒に行動してもらうんだ」
「暗殺事件のこと?」
「うん」と彼は心情を引き締める。「もし本当にティファイコが『宝石リスト』を活用していたら、西境には他にも隠れた駒がいるかもしれない。でも、我々が全ての人を調査することはできない。王室に忠実で勇敢かつ策略のある人々は、暗殺などに使うべきでなく、彼らはもっと有望なポジションで自分の能力を発揮できるはずだ。そんなことを考えると、彼はティファイコ派閥を一掃する決意を更に固くした」
「ご命令通りに、殿下」とナイチンゲールは笑顔で言う。「今日の目的地は?」
「鉱山と塩井。それが今回訪れた主な目的の一つだ」
……
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