090 最初の依頼

ヴィタリアホテルは、43階建ての高級ホテルで、六カ国の各大都市にチェーン店を持ち、その背後にはダークネットワーク組織がある。組織のメンバーのみが宿泊可能で、一般人に対しては「満室です」と言い逃れ、セーフハウスとしての性質を持ち、また様々な勢力の取引の場でもある。ここでは武力行使は禁止されており、違反者は永遠の追跡を受けることになる。

証明書を手に入れた韓瀟は、ヴィタリアホテルに到着した。内装は非常に優雅で、クラシックな木製家具、バーカウンター、深褐色で、釉薬のような滑らかな光沢を放ち、静かな雰囲気が隅々まで漂っていた。

韓瀟はフロントで血契連合会のコインを見せ、一人の侍者がエレベーターで彼を23階まで案内した。

22階、23階、24階のこの3フロアは血契連合会のエリアで、23階はアサシンの休憩室と取引ホールとなっており、ここで依頼を受け、報酬を受け取るなどの活動が行われる。バー、カフェ、レストランなどの娯楽施設も備えられている。

ダークゴールドコインを23階のフロントに提出すると、白い手袋をした侍者が韓瀟を応対し、二人は半個室の座席に着いた。侍者は黒い革のノートを持ち、万年筆で新メンバーの情報を記録し始めた。

「コードネームをお決めください」

韓瀟は少し考えてから、派手な名前をつけることにした。レジェンドレートの獲得に有利かもしれない。

「レッドエンパイアのコールトン星団駐在使徒級観測員ナンバー9527」

侍者は意味不明な様子で顔を歪めた。

アサシンリストには「シルバーフォックス」「マジックスネーク」「ファントム」といった審美疲労を起こすようなコードネームばかりが並んでいる中、この異質な中二病全開の派手な名前は確実に依頼人の目を引くだろう...ただし長すぎる。

「もう少し短くできませんか」侍者は咳払いをした。

え？短すぎると文句を言われることはあっても、長すぎると言われるのは初めてだ。