第33章 焼き鳥屋と未来

焼き鳥の「鳥」とは、鶏のことを指します。

最初、日本で食用鶏が普及する前は、鶏は主に卵を産むために飼育されていました。産卵できなくなると肉質も極めて悪くなり、そのため販売価格は非常に安く、経済状況が良くない時期の食事改善の第一選択となりました。日本の経済復興期には、鶏肉と動物の内臓を串に刺して焼いたものが、工場労働者の仕事帰りの最高の酒のつまみとなっていました。

その後、この食べ方が広く普及し、次第にバリエーションも増えていきました。中国の焼き肉屋台のように、最初はラムの串焼きだけでしたが、今では何でも焼くようになり、豚肉、牛肉、シーフード、野菜、キドニーなど、食べられるものは全てグリルに載せるようになりました。日本も同様で、最初は鶏肉の串から今では様々な種類が提供され、女性の独立の風潮により女性客が増加したため、デザートケーキやフルーツまでも串に刺すようになりました。

北原秀次は野菜とフルーツの串焼きを注文しました。小野陽子が油っこいものを好まないだろうと考えての配慮でしたが、彼の予想は外れていました。小野陽子は「肉食動物」で、ミニトマトやりんごの切り身などには全く興味を示さず、鶏肉の串を持って目を細めて美味しそうに食べていました。

彼女はまるで肉に飢えているかのような様子で、それを見た北原秀次は思わず心配になり、ティッシュを取って彼女の口元の油を優しく拭いてあげました。すると小野陽子は恥ずかしくなり、小さな顔が真っ赤になりました。

「美味しい？」北原秀次は笑顔で優しく尋ねました。前世の年齢から考えると、彼は小野陽子より少なくとも十歳年上で、少し親しくなってからは子供の面倒を見るような感覚がありました。

小野陽子は力強くうなずき、甘く笑って「美味しいです！」と答えました。少し間を置いて、遠慮がちに「初めて食べたんです。こんなに美味しいとは思いませんでした」と説明を加えました。食いしん坊な印象を北原秀次に与えることを心配していたのです。

北原秀次は愛情のこもった笑みを浮かべ、「じゃあ、たくさん食べなさい」と言いました。