「白方反則、赤方一本!」
福泽冬美が蹴りを放ったため、内田雄馬だけでなく、他の二人の審判も躊躇なく旗を上げ、北原秀次の得点を宣言した。しかし福泽冬美は聞こえないふりをして、振り下ろした竹刀を止めることなく、残像を残しながら狂ったように斬りかかり、明らかにルールも何もかも無視して、どうしても北原秀次を斬りつけようとしていた。
北原秀次は格闘の経験数では福泽冬美に及ばないかもしれないが、実戦で命を賭けて戦ってきた彼の神経は十分に鍛えられており、重心を失っても全く動揺せず、福泽冬美の狂犬のような連続攻撃に冷静に対応し、多少苦戦しながらも全ての攻撃を防ぎきり、最後には逆襲の一撃で彼女を押し返した。
内田雄馬は福泽冬美の卑怯な振る舞いを止めようと飛び出したが、この時すでに激怒していた福泽冬美は試合も何もあったものではなく、手で押しのけて彼をつまずかせそうになり、竹刀を構えて再び北原秀次に襲いかかろうとした。
しかしこの隙に北原秀次はすでに構えを立て直して重心を回復し、笑いながら尋ねた。「誰が卑怯なのでしょうか?福沢同学は面目も捨てるつもりですか?」
場外の観客たちも不満げに議論し始め、「なんて卑劣な」という抗議の声が聞こえ始めた。特に女子たちは、まだ北原秀次を心配する様子で、胸に手を当てながら、彼が不意打ちで怪我をしないかと恐れているようだった。
すでに激怒していた福泽冬美は、周りの騒がしさにさらに怒りを募らせ、すぐに振り向いて息巻くように叫んだ。「黙れ!騒ぐな!」
場が静まり返ったが、すぐにBクラスの生徒たちが共通の敵に対して立ち上がり、まず彼女にブーイングを浴びせ始めた。中立だったAクラスも、福泽冬美の悪態を見て即座に同調し、さらには彼女の所属するCクラスでさえ半数が寝返って騒ぎ始めた。
福泽冬美はこの三クラスの80%の生徒たちをブラックリストに入れ、北原秀次に向かって開き直ったように叫んだ。「私は卑怯なことなどしていない。私の修めている小野一刀流は元々蹴りを使うものなのだ!」
北原秀次は剣を構えながらゆっくりと迫り、笑いながら言った。「では今は剣術の勝負というわけですか?」
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