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第215章 手のひらの朱砂のほくろ_2

しかし、この薄利多売型の店で新鮮な本わさびを使わせるのは酷だろう。まあ、これでいいか。こういう店は腹を満たすだけで、他には何もない。ラーメン店と同じようなものだ。

でも雪里はそうは思わなかった。彼女は回転寿司のベルトコンベアーを興奮して見つめ、とても楽しそうだった。食べたいものがあっても、取るのを躊躇していた。北原秀次はその理由を知っていた。小ロブヘッドはケチな性格で、弟妹たちを外食に連れて行くことはなかった。お金を使いすぎることを恐れていたのだ。雪里はおそらく初めての回転寿司で、だからこそ試してみたかったのだろう。

彼は思わず笑って言った。「食べたいものを食べればいいよ。好きなものがなければ、注文すればいい。大丈夫だから、雪里」

席の前にはタッチパネルがあり、好きな寿司を注文できる。寿司職人が握った寿司もベルトコンベアーで運ばれてきて、この席に来るとパネルが知らせてくれる。自分で取るだけでいい。さらに、スープや刺身、漬物、お酒なども注文できる。

雪里は本当に可愛らしかった。彼女がどれだけ食べても北原秀次は気にしなかった。お金は使うためにあるのだから、意味のある使い方をして無駄にしなければそれでいい。使わなければ自分のものではなく、日本政府のものになってしまう。

普通の人なら雪里の食費は賄えないだろうが、彼なら大丈夫だった。そして、小ロブヘッドの暴力的な支配下で、彼女を少しでも楽しませてあげたかった。

雪里は元気を取り戻し、ベルトコンベアーを見たり、タッチパネルを見たりしながら、唾を飲み込んだ。そっとイクラの寿司のボタンを押した。興奮のあまり手が震えて余計に押してしまわないように気をつけていた。北原秀次はパネルを受け取り、笑いながら尋ねた。「これが好きなの?いくつ欲しい?」

雪里は躊躇いながら指を立てて「秀次、まず30個でいいかな?」

北原秀次は呆れた。五本指と30個に何の関係があるんだ?でも素直に30個のイクラ寿司を注文した。この店の寿司は中くらいのサイズで、3、400粒のご飯に魚卵が乗っている。北原秀次は自分なら10個くらい食べられると思ったが、雪里の食欲からすれば10個は腹ごしらえにもならない。彼女なら少なくとも60、70個は食べるだろう。

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