弟に肝臓を提供してから5年目、私の体はまだ回復していなかった。
母はそのせいで大好きだった甘酒の白玉団子をやめた。
父は家にある酒の匂いがするものを全て片付け、炒め物に使う料理酒さえ生姜に変えた。
弟の和也は毎晩ホットミルクを温めてくれて、車椅子のそばにしゃがみ込み、私がたくさんの薬を飲み込めるようになだめてくれた。
彼らはいつも言っていた。
「明里、お前は和也の命を救ってくれた。これからは私たち家族が、一生かけてお前を救うよ」と。
私は信じた。
私はこの言葉を頼りに、何度も何度も繰り返す合併症を乗り越えてきた。
その後、弟が結婚した。
未来の親戚が酒杯を掲げ、命の恩人である姉さんも祝い酒を一杯飲まなければと言った。
その日、私は内臓が全て痛んでいて、こう言うしかなかった。
「私はお酒が飲めないので、お水に替えてもらえませんか?」
弟の嫁は途端に目を赤くした。
「お姉さんは本当に飲めないんですか、それともこの機会に、和也の命はあなたからもらったものだと皆に思い出させたいんですか?」
テーブル中の客が一瞬で静まり返った。
母のずっと堪えていた感情が、ついに捌け口を見つけたようだった。
「たった一口のお酒じゃない。お前は弟に一生恩を感じさせたいのかい?」
「今日はあの子の晴れの日なんだよ、お前の病状報告会じゃないんだ!」
父も目を赤くして私を見た。
「この5年間、私たち家族はお前のために気を揉み、びくびくしながら、お酒の一口さえ口にしなかった」
「私たちはもううんざりなんだ!」
「今日はお前が飲み死んだとしても、弟のめでたい席を台無しにするな」
私は彼らの疲れきった顔と、困惑して黙り込む弟を見た。
私はふと、あることに気づいた。
和也は家庭を築いた。
両親も新しい生活を始めるべきだ。
そして私は、やっと彼らを彼ら自身の元へと返してあげられるのだと。