【現代恋愛・俺様社長+賃貸暮らし+純愛+溺愛】
井上一華(いのうえ いちか)は、記憶喪失の社長の妻になりすます悪役キャラに転生してしまった。
原作では、この悪役は食べることも怠けることも大好きで、ヒーローである渡辺翔真(わたなべ しょうま)に狂ったように付きまとっていた。
脇役の男がヒーローを記憶喪失に陥れ、道端に置き去りにして野垂れ死にさせようとした。その隙に、彼女は彼を拾って家に連れ帰ったのだ。
彼に「あなたはただの貧乏人なのよ」と嘘をつき、無理やり婚姻届を提出させ、心身ともに彼を苦しめた。
その後、ヒーローは記憶を取り戻したが、ヒロインは心を病んでしまう。彼は後悔に苛まれながら妻を追いかけることになる。
一方、悪辣な元妻である一華は、彼から凄まじい復讐を受けることになる。最終的に彼女は、お腹の子と共に命を落とすことになった。
そんな運命を背負って転生した一華は、いきなり絶望的な状況に放り込まれた。
妊婦を突き飛ばしたことで一億円の借金を背負い、しかも体重は百キロに迫る勢いだった。目の前が真っ暗になった。
元の世界に帰る方法も見つからず、一華はここに留まるしかなかった。
翔真の前で必死に好感度を上げながら、ダイエットに励み、逃亡計画を進める。
そして、ついに逃亡に成功。
自分の美しいプロポーションにうっとりしていたその時、翔真が追いついてきた。
「嘘つき、俺の子を連れてどこへ逃げるつもりだ?」
一華はガタガタと震えた。
――この男、いつ気づいたの?
彼女が恐る恐る離婚を切り出すと、彼は逆に彼女を壁に押し付け、目を血走らせて激しくキスをした。
「離婚?」
彼は目を伏せてその言葉を繰り返し、低く冷たい声で言った。
「考えることすら許さない」