冬美は、目の前にいるこのおじといとこが自分の家の家産や家族の事業を狙って来たと疑っていた。態度はあまり変わらなかったが、言葉遣いは丁寧ではなかった。
福泽直光がその言葉にひどく驚き、突然激怒し、テーブルを強く叩きながら叫んだ。「そんな口の聞き方を長老たちにするのか?お前の礼儀はどこに行った?私が心から親切に接しているのに、お前はそんな無礼な考えを持っているのか?」
冬美は頭を下げていたが、譲る気配はなかった。しかし、身内のおじさんに向かって大声で騒ぎ立てて、父と母をあわてさせるつもりもなかった。春菜は静かに北原秀次を押し、静かに言った。「この方、怒らないでください。でも私たちの父親は私たちを面倒見る人を指名していましたから、その点は心配無用です!」
彼女は自分の父親がなぜおじさんと不仲になったのかは知らない。しかし、父親の古傷とこのおじさんとの間には大きな関連性があることは予想できる。だから彼を認めるつもりは全くなかった。
以前、年末年始などには連絡もしてこなかった。父が昏睡状態になると聞いて突然やって来た、これは一体どういう意味なのか?警戒が必要だ。姉さんは間違っていない。しかし彼女は若くて力も弱いので、こういう事には口を挟むことができず、また姉さんが一人で全てに立ち向かうのを見たくなかった。だから迷うことなく、北原秀次を前に出して盾にした。家族には男性が立場を守るべきだ、それが彼だ。
仕方が無い。秋太郎はまだ三歳だから、座って泣かないで騒がないだけで限界だ。大事の時には全く頼りにならない。
北原秀次は躊躇しないで、冬美のそばに直接座り込み、微笑を浮かべながら言った。「こんにちは、何か御用でしたら言ってくださいね」
彼は以前からこのような事に割り込みたいと思っていたが、それは冬美に対する尊重を欠いているように見えた。しかし、今は春菜が口を開いたので、自然に問題はなくなった。
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