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110章 プロポーズをしに行く_1

北原秀次は、巻き上げた蟹黄もち米巻を春菜に面皮を包むように渡し、自らは豆腐を手に一つまみ、清水の盆に放り込んだ。その後、小さなナイフを手に取り、彫刻を始めた。酒のつまみ菜の中のソース豆腐もただの白豆腐であり、猿脳にはなれないのだが、すべての料理材料と同様に値上げされたばかりだ。だから、容姿にこだわらざるを得なかった、少なくとも酔っ払い客がチャージされる際には、心痛を感じないように。

春菜は手伝いながら、不思議そうに北原秀次の仕草を観察していた。彼の手元は安定して巧みで、小さな彫刻のナイフを手に、水中で静かに回転させていた。たった2分足らずの時間で、元々正方形だった豆腐は「白バラ」の二つに変わった。一つは徐々に開花し、もう一つは蕾をつけていた。

彼女は一瞬、目を離すことができなかった。しかし、北原秀次が彼女を見て、笑って尋ねた。「何かあったのか、春菜?」

春菜は意識を取り戻し、手元の仕事に再び注意を向けて、頭を軽く振って何もないと言った。彼女は、北原秀次の身に起きていることがよく理解できなかった。しかし、科学的世界観において、彼女がそれを理解することができる唯一の方法は、北原秀次が彼女が見たことのない才能を持っているということである。そして彼はとても気前の良い才能の持ち主で、彼らの家を助けるために時間を割いてくれる人物だった。

それ以外にどう説明すればいいのか?北原秀次は妖怪?

北原秀次は春菜が何を考えているかを気にせず、料理が上手くて人間らしくないということはないし、何も奇妙なことは見つけられなかった。彼はただ笑って言った。「面白そうだと思ったら、そのうち教えてあげるよ。」

春菜は少し驚き、同時に心が揺れていた。彼女は半信半疑で尋ねてみた。「本当に教えてくれるの?」

「断る理由があるかい?」北原秀次は平然としていた。逆に、彼は春菜が早く自立できるように願っていた。彼は一生料理人をするつもりはなく、春菜が料理をこなせるようになれば、この店を春菜に任せることができ、福沢家の収入を保証しながら、子供たち全員に教育を受けさせることもできるだろうと思っていた。

人に魚を与えるよりは、釣り方を教えた方がいいだろう!

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