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190章 勝ちと負け

「王子役の俳優は確かに整った男性だけど、しかし表情が硬すぎるでしょ」マルグリが言いました。

「え、まさか彼」とローランは少々驚いて言った、「暁の光、西境の第一の騎士、今は辺境の町で教師をしていて、本職は俳優ではないんだ」

「俳優じゃない?」と女トレーダーは驚いて言った、「それでも舞台に立つことができるの?」

「人手が足りないからさ」彼は笑って言った、「他の2人を見てみな。先ほど舞台の背景道具を運んでいた俳優たちだ。彼らが王子役をやるとしたら…まったくシンデレラが一目惚れするような存在ではないよ」

「…それはそうですね」

アイリンはすっかり変身を済ませて一線に立ち、メイがフィリン.ヒルトの横に歩み寄り、彼の肩に手を置いて踊り始めるのを見ていました。いや、フィリンは踊ることができず、ただメイの見事な動きに導かれて相手のリズムに合わせて揺れ動いているだけだった。練習の時にはこれがなかったとあいりんは気付きました。これはメイの即興演技だと。

「姉が王子を何度も誘惑するが、しかし王子は動じず、ただ丁寧に会話を続け、シンデレラが彼女の前に現れるまでは。それを見て初めて彼の視線が全て美しい瞳と完璧な歯、繊細で優雅な彼女に移った」

アイリンは、自分が行けばフィリンが台本通りメイを脇に追いやり、自分に対する一目惚れの愛情物語を演じることを知っていた。しかし、どんな人でも見ればわかる、自身が取り乱した姿はメイに全く引けを取らず、なぜ彼女より美しく魅力的な彼女を捨てて、ありふれた自分を選ぶのか?

その時、彼女はフィリンが自分に視線を送るのを見た。

無力さ、慰め、励ましそれとも……愛情。

アイリンは突如周りが静まりかえったことに気づいた、町の人々の笑い声、歓声、論争の声は何処かに消え去り、劇場の友人たちも見当たらなくなり、ステージにはメイ、フィリン、そして自分だけが残されていた。

そうです。演技の面では西境の星と比べて餅が遜色があることは確かですが、だからといって諦めて敗北を認めるべきでしょうか。

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