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107章 心に問う

晩ご飯を食べ終わり、ローランはオフィスに戻り、自身の脳内にある基本的な数学の知識を紙に書き留め続けた。

彼には完全記憶の能力はなく、それどころか、記憶力は時間の経過と共に衰えていく。専門性の関係上、数学や物理学は割と頻繁に使用する科目だが、歴史、地理、生物学、化学などの知識は恐らく入門レベルにまで退化している。だから、使うことがあるかどうかはともかく、早めに忘れてしまう前に内容を書き出しておけば、それだけ多くの知識を保持できる。

彼は一枚の紙に書き切るたびに、隣にいるロールにそれを一瞥させる。彼女が見ることで、その内容は一種の永久保存となる。残念ながら、ロールの能力は記憶に関連しているだけで、それが彼女に中高校の数学の知識を独学で理解させるわけではない。そのため、時間があるときは、ローランが彼女に説明をする必要がある。

もちろん、彼が教えることを好む性格であるため、教え伝えることは非常に楽しいことである。特に、ロールが驚いたり、物思いに耽った後でふと悟る表情を見ると、彼の心は特別な達成感で満たされる。ただ、ローランは理解している。それは、教える相手との関係性にも関連がある。ロールは既に40歳近くだが、魔力の影響で彼女の老化速度はかなり緩やかである。頬の肌はまだ弾力があり、赤みがかっており、黒いロングヘアはシンプルに後頭部で結ばれ、落ち着いた雰囲気を漂わせている。目尻の微細な魚尾線は全体的な美感を損なうどころか、むしろその落ち着いた雰囲気を更に引き立てている。映画に出てくるような、エレガントで才能に溢れた先生の役そのものだ。そして今、彼がその「先生」を呆然と聞かせることができる、そのギャップがまた楽しい。

ローランは書きながら同時に考えていた。この世界の魔力とは一体何なのだろうか。

それは何処にでも存在し、北斜面の鉱山の深部であろうと絶境の山々の中であろうと、野蛮な地から東のハイフエングンまで、魔女達はそれを使って様々な奇跡的なパワーを放つことができる。もし魔力を電力とみなすなら、魔女たちは機能が異なるプラグといえる。しかし、それは明らかに電気よりも不可思議で、むしろ「根源」という言葉に近いエネルギーのようだ。

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