第236章 彼に返す

許南歌はそれまでこの玉の指輪の価値を知らなかった。

　　李婉茹に見つかって捨てられたり売られたりするのを恐れて、ずっとこっそり隠していた。

　　今回取り出して見てみると、子供の頃に慰めをもたらしてくれたこの玉の指輪が、かなりの価値があるものだと気づいた。

　　許南歌はこういったものに触れる機会が少なかったため、よく分からなかった。そこで霍北宴に鑑定してもらおうと思った。

　　しかし、彼女が玉の指輪を掲げた瞬間、病室から突然鋭い心拍停止音が響いた！

　　霍北宴は急に立ち上がり、すぐに病室に駆け込んだ。

　　彼が呼ぶまでもなく、医師や看護師たちがすでに駆けつけ、再び葉可柔の救命処置を行っていた！

　　霍北宴は不安そうに彼らを見つめていた……

　　許南歌はまだ玉の指輪を持ち上げたままの姿勢だった。彼女は静かに霍北宴をしばらく見つめ、最後には立ち上がって外に出て行った。

　　彼女のこの立場では、ここにいるのは本当に居心地が悪かった。

　　しかし、彼女は遠くへは行かず、ただ病院を出て外をぶらぶら歩いただけだった。

　　どういうわけか、ある宅配便の集荷所の前にたどり着いた。

　　許南歌は足を少し止めた。

　　彼女は再び下を向き、手の中の玉の指輪を見つめ、突然店内に足を踏み入れた。

　　この集荷所はちょうど彼女の会社の所有だった。配達員は彼女を知っていて、すぐに驚いて言った。「社長、どうしてここに？」

　　許南歌はここ数年、これらの修理会社や宅配会社の管理をほとんどしていなかったが、これらの古参の従業員のことは覚えていた。

　　この言葉を聞いて彼女は言った。「荷物を送りたいの。」

　　許南歌はその玉の指輪を取り出し、配達員に箱をもらい、何重にも包んだ後、また考え込んだ。「紙とペンはある？」

　　「あります。」

　　配達員は振り返って彼女に紙とペンを渡した。

　　許南歌は短い手紙を書いた：

　　「お兄ちゃんへ：

　　この手紙があなたの邪魔にならないことを願っています。私のことを覚えているかしら？また、これらの年月で私を探したことがあるのかしら。

　　この手紙を書いたのは、もう私を探さなくていいということをお伝えしたかっただけです。