195章 私のお父さんになりたい？_1

北原秀次の言葉は誠実でやさしく、それに冬美は少し感じが変わった——彼って私のことをこんなに気にかけてくれるの？と。

彼女は北原秀次をちらりと見て、ぷっと言った。「ありがとう。」と少しばかり渋々、「もういつも福沢同学、福沢同学って呼ぶのはやめて……」と付け加えた。

彼との関係はこれほど親しくなったし、しかも家族全員が北原秀次と特に親しい。妹たちは彼が自分の面倒を見ることになっても全然気にしないで学校に行ってしまった、彼が何をするか全く心配していないーー彼をすでに家族の一員として受け入れて、大いに信頼しているのだ。だから、敬語を使う必要はもうない。

北原秀次はちょっと困ってしまった。普段は口では福沢同学と言いつつ、心の中では小ロブヘッドと呼んでいた。そして、この小ロブヘッドは彼をいつも「おいおいおい」って呼んでいた。彼女が言いたいのは、呼びかけを変えることなの？

これは二人の関係が一段階進んだと言えるだろう。でも実際、呼び方を変えるべきだった。雪里たちと一緒にいて笑い合っている時と、小ロブヘッドと距離を感じる話をする時とでは、なんだか違和感があったからだ。

彼はゆっくりと頷き、笑いながら問う。「じゃあ、君を何と呼べばいいのかな？」福沢とだけ呼ぶのもなんだか変だし、福沢同学と呼ぶのと大して変わらない。しかも家族の中には姓が福沢の人が6人もいる。

それとも、名前だけで呼ぶ？でもこの小ロブヘッドは気性が荒いけど、やっぱり女の子だ。彼女が承諾すればいいのだが。

冬美は目を垂れて、ぽつりと言った。「つまり遠慮しすぎないようにってことね、あなたがどう呼ぶかは自分で考えて。」彼女は損はしたくなくて、彼が自分をどう呼ぶかで彼をどう呼ぶかを決めようとしていた。例えば、もし秀次が名前だけで呼ぶなら、彼女も名前だけで呼び返す、彼女が最初に「秀次」と言うことは決してない。

北原秀次は少し躊躇した後、互いに名前で呼ぶ感じじゃないなと思った。そこで、優しく言った、「おねーさん？」　以前、福沢直隆が彼女をそう呼んでいた。これなら遠慮しないでしょう？