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第159章 禁欲系_3

北原秀次は荷物を整理して純味屋に向かおうとしていたが、靴を履き替えて学校の玄関を出たところで、隣の建物の上階から怒鳴り声が聞こえてきた。「走るな!聞こえてるの?走るなって命令よ!」

冬美の声だった。北原秀次が隣の教育棟を不思議そうに見ると、雪里が片足で跳びながらもう片方の足に靴を履こうとしながら玄関から出てきた。

北原秀次が反応する間もなく、雪里は片方の靴がうまく履けないまま、片足で跳ねながらも素早く動き、小さな顔には絶望と決意が満ちていた。学園の大門へと一直線に向かっていった。

冬美は二階の廊下の窓から顔を出し、怒り狂っていた。「馬鹿!帰ってくるなよ!」彼女は雪里が学校で時間を潰して勉強から逃げることを恐れ、放課後すぐに家に連れ帰って補習をしようとしていた。雪里は数回懇願したが無駄だと分かると一目散に逃げ出し、冬美は短い足では追いつけず、怒り爆発した——誰のためにやってると思ってるの?実の妹じゃないのに補習してあげようとしてるのに?恵まれているのに分からない馬鹿!

そして冬美は北原秀次に気付き、小さな顔を輝かせて叫んだ。「家出しようとしてるの、止めて!」言うや否や彼女の小さな頭は見えなくなった。おそらく追いかけて下りてきたのだろう——北原秀次が少し時間を稼いで雪里を捕まえられれば十分だった。母からの命令があるので母の代わりとして、雪里は反抗できず、逃げるのが精一杯だった。捕まえさえすれば、尻を蹴りながら家まで連れて帰れる。

北原秀次は愕然とした。この厳しい学習で雪里は耐えられなくなったのか?百二十日も勉強させられると聞いて怖くなったのか?しかし、雪里を逃がすわけにはいかない。入学初日から反抗して、本当に成功したら、これからの補習はどうなるんだ?

しかし彼は雪里からかなり離れていて、必死に逃げる雪里を追いつける自信がなかった。ちょうどテニス部の数人が練習に行こうとしていて、入学初日の最初のクラブ活動で新しいボールとラケットを持っていた。そこで北原秀次は遠慮なくテニスボールを数個手に取り、【予読】技能を発動した。

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