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届け物は伝説の剣

「頼む、あの剣を届けてくれ!」

見知らぬ男がそう叫びながら差し出したのは、見るからに特別な輝きを放つ剣だった。

場所はとある異世界の片田舎の村。

僕、如月真一(きさらぎしんいち)は、ひょんなことから異世界に召喚され、今は『異世界デリバリーサービス』の運び屋をしている。

「また厄介そうな依頼だな…」

運び屋の仕事は多岐にわたる。

薬草や手紙、小さな宝石箱まで何でも運ぶけど、時々こうしてとんでもないものが依頼品になる。今まで一番面倒だったのは、

巨大な魔物の卵だったが、今回はその記録を更新しそうだ。

「届け先はどこだ?」

剣を受け取りながら僕は聞く。男は急かすように地図を広げ、震える手で一点を指差した。

「王都―いや、王城の地下だ! そこにいる王女様がこれを必要としている。今すぐだ!」

「王城ね…また面倒そうな場所だな。」

王城と言えば、貴族や兵士がひしめき合う場所で、異世界のよそ者である僕が簡単に入れる場所ではない。だが、運び屋は依頼を断らないのがルール。

届けられるものなら、どんなに困難でも届ける。それが僕のプライドだ。

「分かった、任せろ。」

剣を慎重に鞘に収めると、僕は愛用の馬車―いや、魔法で動く荷車に飛び乗った。

名前は『疾風号』。風魔石で動く便利な代物だ。

「どんな危険が待ってるか分からないけど、行くしかないか。」

荷車を走らせながら、僕は道中の危険を考える。

異世界の道は野盗や魔物の巣窟だ。無事に届けるには、剣を守りつつ自分の身も守らなければならない。

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そして道中、最初のトラブルはあっさりとやってきた。

森の中で荷車を止めた瞬間、空気が変わった。茂みの中から現れたのは…

「お前が持ってる剣を渡せ!」

現れたのは、黒い鎧を身にまとった一団。

リーダーらしき男が剣を抜きながら睨みつけてくる。彼らの目には明らかに敵意が宿っていた。

「悪いけど、この剣は渡せない。仕事だからな。」

僕は冷静に答えながら、荷車から飛び降りる。

ー運び屋の心得その1―常に自己防衛術を身に着けておくこと。

「ふん、そう簡単に行くと思うなよ!」

男が叫ぶと同時に、一団が一斉に襲いかかってきた。だが、僕は動じない。

運び屋は荷物を守るために戦うことも仕事の一部だ。

「疾風剣術、第一式―乱刃の舞!」

腰に携えた剣を抜き、僕は素早く周囲を斬り捌いた。風のような速度で一団を制圧する。

「ちっ、覚えてろよ!」

生き残った数人が逃げていくのを見届けると、僕は剣を鞘に収めた。

「ふぅ…まさか初日からこんな騒ぎになるとは。」

再び荷車に乗り込むと、僕は王城に向かって疾走した。

この剣には、まだ誰も知らない秘密が隠されているに違いない。

それを知るのは、届け先の王女様だけだ。