最悪の事態が回避されて幸いだった。北原秀次が河堤下の緩やかな斜面で内田雄馬を見つけた時、この男はまだ元気だった。彼は45度の角度で空に見つめる淡々とした悲しみに浸っていた。優しい可愛らしい少女がこのポーズをとっていたら、まさに人々の同情を引くだろう。しかし、この男がそうしていると、どこか笑ってしまうような感じがする。
しかし、何も問題が起きていないのならそれが一番だ。北原秀次は心の中でほっとした。式島律には見つけたことをメールで知らせ、その後は雪の中でゆっくりと歩いていった。「内田、大丈夫だった?」と静かに声をかけた。
それまで気づかなかった内田雄馬は彼の存在に気付き、頭を向けて彼を一目見て無理に笑った。「北原、お前だったのか。どうしてここに?」
そして彼は北原秀次の背後にいる雪を見つけた。しかし、雪は彼など無視して、川に向かって一声喜びの声をあげた。河边に腰掛けて左右を見回し、楽しそうだった。
北原秀次は内田雄馬の隣に座り、笑って言った。「阿律がお前を見つけられなくて必死だったんだ。危ないことになったのかと心配してた。それで、坂本君に出くわしたんだよ……」
内田雄馬は携帯電話を取り出し、電源を入れた。すぐに数十通の未読メールが表示された。全て式島律からのものだった。彼の瞳はすぐに赤くなった。彼の目はもともと少しはれていて、とても脆弱に見えた。
彼はそのメールを読むこともなく、再び携帯電話をしまい、北原秀次に無理に笑って、「阿律はとにかく勝手に心配するんだ。俺、雄馬大爷は何度も修羅場を乗り越えてきた。こんな些細なことで落ち込むわけないよ……事件、知ってる?」と言った。
なるべく避けようと思っていたけれど、どうやら式島律と北原秀次にはバレてしまったみたいだ。
北原秀次は全く信じていなかったが、彼の話を受けて笑って言った。「……はい、少し聞いたよ。でも、きっと大丈夫だよ。君こそ、私たち3人の中で”恋愛の専門家”だから、ちょっとくらいの挫折でくじけるわけないさ」
Soutenez vos auteurs et traducteurs préférés dans webnovel.com