神秘学の扉をくぐったばかりの「占い師」として、クラインは自分が多くを理解しているとはいえないが、普通の人より知識があるのは確かだと思っていた。さまざまな占いをある基準に基づいて3つに分類できることも理解している。
その基準は「啓示」がどこから来るかということだ。
まず、第一の占い方法は、タロット占い、トランプ占い、ペンデュラム法、杖占い、夢占いなどで、「占ってもらう人」本人の霊性、および霊界との交信で得た「啓示」を頼りに、占いの結果を解読するものだ。ただ、ペンデュラムと杖占いは霊性、スピリチュアル体、アストラル体に求められるレベルが高く、超越者でなければ正確かつ明確な「啓示」を得ることはできない。カード占いは予め決まった象徴が表す意味を示しておくことによって、普通の人がぼんやりと感じとった「啓示」を具体的に示すもので,夢占いはこれらの2種の中間である。
次に、第二の占い方法は、数秘術、占星術、およびそれから派生した全てのタイプの占いで、占い師は占ってもらう人、あるいは自然な変化から得られる客観的情報を通して、計算、推測、解読などにより結果を導きだす。主動するのは占ってもらう人ではなく占い師である。
そして、第三の占い方法は、占い師と占ってもらう人以外の第三の力を借りるもので、クラインが前世で知っていたコックリさんや自動書記がこれに当たり、一定の儀式を通して、未知の、神秘的な存在に答えてもらうものだ。普通の人が行うとほとんど成功しないが、万一、悪意に満ちた、または接触しただけで人を崩壊させてしまう存在と交信してしまった場合、惨劇が引き起こされることも多い。
ハナス・ファンセントが先ほど言っていた「魔鏡占い」はこのタイプだ――神秘学において、鏡は未知で、不思議な、霊性の世界に通じる扉である。だからクラインは会議室の外で立ち止まり、この有名な占い師がどのように説明するのか聞いてみようと思った。それによって、隊長に報告し、夜中に彼の家に行って彼を逮捕するかどうかを決める。
もちろん、「魔鏡占い」にも安全なやり方はある。それは7人の正統な神に祈って答えを求めることで、普通の人が真の「啓示」を得ることはほとんど不可能だが,少なくとも危険ではないし、後に悪い影響が残ることもない。
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