茶色の長い髪をまとめ上げたきれいな女性は、クラインの問いに嫌な顔一つせず、礼儀正しく微笑みを保って答えた。
「会員はここで自由に占いをすることができます。料金は自分で決められますし、クラブに収める手数料もごく少額です。占いをご希望でしたら、このファイルを見て、占いを行う会員の紹介と料金をご確認ください。」
「月曜の午後なのでほとんどの方は仕事中で忙しいので、今は数人しかいないですが……」
そう言いながらクラインを窓際のソファーに案内し、向かい側からファイルを開いて今いる会員の説明を始めた。
「ハナス・ファンセントさん、ティンゲンの有名な占い師で、クラブに常駐する指導者です。さまざまな占いに精通しており、料金は4スラーです。」
高いな……ベンソンとメリッサと3人で豪華な夕飯2回分の値段だ……クラインは驚いて無言になった。
女性はクラインの様子を見て、ページをめくり説明を続けた。
「……最後の1人はグラシスさん、今年入会した会員で、占いの種類はタロット、料金は2ペンスです。」
「誰にしますか?」
クラインは遠慮なく答えた。
「グラシスさんにします。」
「……」受け付けのきれいな女性は一瞬沈黙してから言った。「先に申し上げておきますが、グラシスさんは初心者ですよ。」
「大丈夫です、自分の決定には責任を持ちますよ。」クラインは微笑んで頷いた。
「……ではついてきてください。」女性は立ち上がり、ロビーの隅のドアを開けクラインを案内した。
短い廊下の突き当りがオープンな会議室になっている。光が差し込み、テーブルと椅子が並び、新聞、雑誌、カードなどが置かれ、コーヒーの香りがほのかに漂ってくる。
会議室から2部屋ほど離れたところで、受け付けのきれいな女性はクラインに待つように合図し、足早に突き当りまで進み、柔らかく声をかけた。
「グラシスさん、占い希望の方が来ています。」
「僕に?」驚きと疑いに満ちた声とともに、椅子を動かす気配が伝わってきた。
「そうです、どのお部屋を使いますか?」女性は感情のない声で答える。
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