第116章 このお金でキャンディーを買ってあげる_3

「お風呂に行きなさい！」冬美は容赦なく、暴力を控えめにするように諭す雪里を殴る蹴るの一連の動作で追い出し、そしてドアを強く閉めた——あいつは雪里と一日過ごしただけで、雪里が変になってしまった。これからは子供の面倒を見させてはいけない！

自分の子供は自分で育てるべきだ。他人に任せたら台無しになってしまう！

一方、建物の下の北原秀次は何も気付かず、今日の自分の仕事ぶりは素晴らしかったと思っていた。ベビーシッターとして99点をつけるべきで、1点引くのは謙虚さを示すためだ。

彼は陽子と電話を終えたところだった。本来なら陽子に自分で料理を作らないように伝え、美味しい物を持って行こうと思っていたが、陽子は本当に良い子で、彼に負担をかけたくないと固辞した。最後に北原秀次は彼女を無理強いしたくなかったので、諦めて、ただ栄養のある食事を取るように、肉と野菜を食べて、余計な節約はしないようにと言い聞かせた。

アパートで電話を切った陽子は、とても嬉しかった。誰かに大切にされ、気遣われる感覚が好きだった。百次郎に手を振り、甘く微笑んで言った：「百次郎、スーパーに行きましょう。お兄さんが肉と新鮮な野菜を食べるように言ってくれたの。きっと夜帰ってきたら聞くと思うから、言うことを聞かないとね！」

最近、家計の状況が良くなり、北原秀次はお金を全て彼女に管理させていた。この方法は確かに彼女の心を安定させ、過度な節約を考えなくなった——しばらく様子を見て分かったことだが、彼女が倹約しすぎると逆に北原秀次を困らせてしまうようだった。それはいけない、素直な良い妹でいなければ！

肉？百次郎はその言葉を聞くと即座に浴室から飛び出してきて、陽子の傍らに忠実に寄り添い、命を懸けて仕えることを誓った。

陽子はお金を取り出し、嬉しそうに買い物に出かけようとしたが、ドアを開けた途端、二人の体格の良い成人男性が通りかかるのを見て、すぐさまドアを閉めた。

しかし、その二人の男性は既に彼女に気付いており、すぐにドアをノックして用件があると丁寧な口調で告げた。陽子はチェーンロックをかけたまま、ドアを少し開けて警戒しながら二人の男性を見て、小声で尋ねた：「こんにちは、何かご用でしょうか？」