北面の斜面の裏庭へ向かう途中まで、ローランの耳にはその言葉がずっと響いていた。
心の奥底に一縷の切れ目がほんの少しずつ剥がれていくのを感じた。そうだ、彼は思った。もう自分は機械の図面と日々やりとりしていた普通の人ではない。ここは過去に親しんでいた世界でもない。今、彼は徐々に一つの地域を統治する大領主へと変化している。そして将来的には、王国の統治者になる可能性すらある。状況が変わった時、以前の考え方で自分を縛りつける方が疑問となる。
心の奥底から湧き上がる思いに従えば良い、彼は自分に言い聞かせた。何か架空の「ルール」のために相手を無理に引きつけても、アンナとナイチンゲールに対して続けて傷をつけるだけであり、何も良いことはない。
そこまで考えた時、ローランの気持ちがぐっと広がり、彼は深く冷たい空気を吸い込み、ゆっくりと裏庭の大門を押し開けた。
開いた鉄の扉は、心の底の裂け目のように一瞬で新しい世界を掲げた。
「あ……殿下、」ハチドリとルシアが走ってきて挨拶した。
「来ましたか?」アンナは甘い笑顔を浮かべ、彼女の白い首に浅い赤い印を見て、ローランは思わず昨晩の彼女の熱情を思い出した。しかし決断を下した以上、最後のちょっとした時間の待ち時間を気にすることはなかった。
「どうでしょう、模型は作られましたか?」
「もちろん」とアンナは「こっちへ」というジェスチャーをした。二人が裏庭の出口を出ると、一面の積雪で囲まれた池の中央に鉄の船が浮かんでいた。鉄の船はおおよそ1メートルの長さで、20センチメートル程の幅なので、無骨なセメント船に比べてずっとスマートだ。船首は明らかに楕円形で、後部は平尾、最も特異なのは船底が縦横に交差する支持バーで覆われ、まるで無数の格子が組み合わさったように見える。
「これが私が欲しかったものです」とローランは感嘆した。鉄筋とセメントで作られた石の船と比べて、純鋼船は独自の洗練さを持っている。特に、密集した交差ビームと組み合わせると、まさに芸術品のようだ。彼はこの船模型の各部分が全てブラックファイアのカットにより比例縮小され、接続点一つ一つが省かれていないことを知っている。後世に置いても、これは数万円の価値がある逸品だ。
「それは、新しく造る船ですか?」
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