ある日、美しい環境の島で、青い山が島の中心にそびえ立ち、周りには幾重にも重なる小さな山々が密集していた。
この島は現代的な都市で、海風が大洋特有の湿った水気を運んで島の都市を潤していた。
透き通った海水が空と繋がり、きらきらと輝く水平線の景色を見せ、ここでは碧い海と青い空を眺め、波の音を聴くことができた。
桜が咲き誇る青石の小道では、紅い花びらが少女の微笑みのように、かすかな香りを漂わせていた。
この静かで美しい小道を歩きながら、セイリの顔には自然と嬉しそうな笑みが浮かび、彼女は隣にいる人に向かって叫んだ。「ここの景色って素敵でしょう?私たちここに家を持って、任務が終わった時にはここで過ごすのはどう?」
彼女がここを気に入ったのは、地球の美食と目の前の景色に魅了されたからだろう。
「ふふ、じゃあ家を持とうか!」
シアは肩をすくめた。彼女の好きにさせればいい。セイリが大きくなってから本当に言うことを聞かなくなった。精神タイムハウスから出てきてからは兄とも呼ばず、名前で呼ぶようになった。
ああ、子供も大きくなって、どんどん自立していくんだな、とシアは感慨深げだった。
山頂から島全体を見下ろすと、彼はふと、この島がどこかで見たことがあるような気がした。
しかし彼は初めて地球に来たばかりだ。見覚えがあるとすれば、原作で見たことがあるはずだ。シアは本屋を見つけ、島の都市の地図を買って、ようやくこの島の都市の状況を把握した。
「ここは孫悟空が亀仙人について修行した島じゃないか!」シアは驚いた顔をした。
島と言っても、実際は半島に過ぎず、一部は大陸と繋がっていた。
原作で有名な島は多くない。一つ目は亀仙人が住む亀仙島、二つ目は孫悟空とクリリンが亀仙人の門弟となって毎日畑仕事とミルク配達の修行をした島、第3位と第4位はそれぞれ第22回天下一武道会が開催されたパパイヤ島と第23回武道会が開催された南東の小島、そして後の人造人間編に登場する南部の都市の島だ。
「ここが悟空たちが将来修行する島なら、亀仙島もこの近くにあるはずだ。なんという偶然だ!」
シアの口元に思わず笑みが浮かんだ。まさか何気なく歩いていたら亀仙人が住む島の近くまで来てしまうとは。しかし、彼は亀仙人に会いに行く気はなかった。
一つには、今回の地球への目的はほぼ達成されており、仙豆も修行方法も十分手に入れたので、亀仙人に会う必要もない。二つ目に、たとえ亀仙人に会えたとしても、亀仙人のあの弱々しい力では何の利益にもならないので、会わないでおこうと思った。
そこでセイリの要望に応えるため、シアは島の山腹に一区画の土地を区切り、木材で簡単な小屋を建てた。
……
朝日が昇り、陽の光は明るい。
穏やかな日差しが暖かく青石の地面一面に降り注ぎ、草葉の間には霧が立ち込め、陽の光に照らされて虹色に輝いていた。紅い桜は少女の笑顔のように、島全体に魅力的な輝きを与えていた。
緑豊かな低い山の頂で、青石で作られた小道が山の起伏に沿って蛇行して下り、渓流が山頂の岩石から染み出し、両岸の水草を潤してから一筋の清らかな流れとなって静かに流れていた。
「ふむ、地球に来なくなって何年も経つが、今の科学技術はこんなに発展したのか。」
山腹の日陰の涼しい場所で、石のベンチの傍らに、白髪に白いひげの老人が白い武道着を着て、山下の活気に満ちた生活の風景を微笑みながら眺めていた。
白い武道着の左上には赤い「武」の字が書かれていた。
しかし不思議なことに、この白髪の老人の頭上には金色の輪が浮かんでいた。それは死者の輪で、この輪はこの老人が実は冥土からやって来た魂であることを示していた。
冥土は非常に不思議な場所だ。
天国、地獄と繋がっており、さらに不思議な蛇道で高次元の界王星とも繋がっている。
冥土に来た魂は、生前どれほど強大で名高かろうとも、死後は閻魔の審判を受けなければならない。閻魔の審判の後、善人は天国に昇る機会を得、悪人は地獄に落とされ、善悪どちらでもない者はすぐに輪廻転生する。
生前に大功を立てた者や徳の高い者だけが輪を持つことができ、これは天国に昇る資格があることを示している。
この白髪の老人の身分は非常に特別で、彼は三百年前にビック大魔王を倒して世界を救った武道の大家、武泰斗であり、亀仙人と鶴仙人の先生でもある。
三百年前、武泰斗は大魔王を封印した後、力尽きて死んだ。彼の功績なら直接天国に昇れたはずだが、最後に冥土に留まることを選び、今日は武泰斗が人間界に戻ってきた日で、その後輪廻転生することになっていた。
人間界に戻ってきた武泰斗は、二人の弟子である亀仙人と鶴仙人に会いに行かず、一人で黙々と各都市を巡り歩き、知らぬ間にこの海辺の島の都市にやってきた。
三百年後の人間界の繁栄と平和な様子を見て、武泰斗の心は喜びで満ちていた。特に自分の二人の弟子がそれぞれ門派を開いて武道の大家となったことを知り、武泰斗はさらに喜びを感じていた。
その時、山間の小道の向こうに二つの人影が彼の注意を引いた。それは若い男女の二人の子供だった。
彼らから、武泰斗は血が沸き立つような気を感じた。
「お二人とも、どこの流派の出身かな。こんなに若くしてこれほどの実力を持っているとは?」
声のする方を振り返ると、シアは驚いた。白髪に白いひげの老人が微笑みながら彼らを見ていた。
「この老人は誰だ、体内のチが神よりもずっと強い!」
相手の体から伝わってくる深い力を感じ取り、シアは驚いた。この気は戦闘力6000に近いものだった。まさか地球上にこのような一流の者がいるとは。さらに相手の武道着に大きく書かれた「武」の字と、頭上に浮かぶ儚げな金色の輪を見て、シアの表情が動揺した。老人の身分が分かったようだった。
「もしかして亀仙人の先生、武泰斗では?そうだ、地球でこれほどの力を持っているのは武泰斗しかいない。冥土でも修行を怠らなかったようだ。」シアは確信に満ちた表情を浮かべた。
生前に大功を立てた者は死後も肉体を持って修行できるが、これはごく少数だ。武泰斗の現在の状態から判断すると、彼は肉体を持っているようだ。天国で三百年修行して戦闘力6000に達するのは、まあ普通のことだろう。
「お爺さんは武泰斗さんですか?」
今度は武泰斗が驚く番だった。今でも自分の名前を知っている者がいるとは思わなかった。彼は少し驚いて「若者よ、私の名を知っているのか?」と言った。