【W転生/溺愛・過保護/婚約破棄(回避)/執着系“若侯爺”】【将門の小白兎×清冷な若侯爺】
大夔(たいき)で「国一番の美貌」と名高い白羨魚。
儚げで甘い顔立ちのせいで、前世の彼女は――最悪の選択をしてしまった。
名門侯府の嫡子・謝行蘊にしがみつくように嫁いだのに、
返ってきたのは、長年の冷淡と“愛のない結婚”。
……そして迎えた破滅。
――ところが次に目を開けると、縁談がまとまる直前の「議親」の場だった。
しかも、彼もまた転生していた(W転生)。
「今世こそ、絶対にあの結婚はしない」
そう決めた瞬間、将軍府が沸騰する。
長槍を構えた少将軍の長兄が宣言する。
「妹を娶るなら、俺を踏み越えてみろ」
放蕩気味な“商いの王”の二兄が鼻で笑う。
「貧乏以外に取り柄あるのか? 俺のほうが百倍いいだろ」
冷酷で容赦ない権臣の三兄が目を細める。
「うちの五妹は騙されただけだ。……お前、覚悟はできてるな?」
科挙首席(状元)の四兄は涼しい顔で言い切った。
「嫁ぐ必要なんてない。兄が一生、養う」
白羨魚は観念して頷いた。
「……うん。嫁がない」
将軍府は大歓喜。――のはずだった。
“鎮北侯の嫡子を断った”噂は瞬く間に京中へ飛び、
求婚者の列で将軍府の門が擦り減るほどに。
彼女が自分を見もしない。
笑顔で他の男と縁談を進めていく。
それを見た、いつも冷淡で矜持の塊だった謝行蘊は――
酒に酔った夜、将軍府の塀を越えてきた。
「……言っただろ。俺以外に嫁がないって」
白羨魚は唇を噛む。
「侯爺様、ご自重を。ここは私の部屋です」
返ってきた声は、低く、逃げ道を塞ぐように。
「――俺は、お前の夫だ」