第51章　現実的な儀式魔法

　魔法で借用書を解決する？

　直接的に貸し主を呪い殺すのか、それともお札を偽造する？

　問題は解決できないが、あなたを解決することはできる？

　……

　クラインの頭の中をさまざまな考えが入り乱れ、ニールを見る目つきも少しおかしくなってしまった。

　警察に通報するか、それとも、夜を統べる者に通報する可能性を真剣に考え始めた。

　ニールは彼をちらっと見ると、不機嫌そうに言った。

　「お前さんの目つきから、無知、愚鈍、恥知らずなほど薄い信頼が見てとれるぞ。ダンはお前さんに秘密を覗く者の格言を教えなかったのか？欲する事を為せ、だが傷つけるな！」

　「この格言はもともとは秘密の、邪悪な組織『モールス苦修会』から伝えられたものだが、『秘密を覗く者』の道を選んだ超越者は皆、自らの経験でそれが正しいということを証明している。これを厳しく守り、畏敬の念を十分に持っていれば、暴走するリスクは最低限まで下がるが、その逆の推論も同様に成り立つのじゃ。」

　「お前さんの疑いは、わしと秘密を覗く者に対する侮辱じゃ！」

　「すみません」クラインは少しもためらうことなく謝罪した。

　彼は確かに、以前ダン・スミスから聞いたこの格言を忘れていた。

　ニールは本気で腹を立てたわけではなく、すぐに笑顔になって言った。

　「残念なことに、『占い師』を選ぶ超越者は非常に少ないから、お前さんを助けてくれるこういった格言はない。」

　でもロッセール大帝の日記がある……うん、格言を厳格に守ることそのものが「演じる」ことのようなものだ……クラインはふとそんなことを思い、何かを考えるようにうなずいた。

　ニールはそれ以上何も言わず、重厚な丸テーブルの上の花瓶などを持ち上げ、部屋の隅の方に置いた。

　それから、銀製の小箱から赤と黒のろうそくを1本ずつ取り出しながら、説明を始めた。

　「一般人が儀式魔法をやろうとする場合、必ず星占いの結果に従うか、または対応する手引きを読んで、適切な日、適切な時間を選ばなければならない。例えば女神の象徴である日曜日、女神がつかさどる月の時刻というように。だがわしらのような超越者、特にこの分野にたけた超越者にはそんなものは必要ない。我々の活力に満ちた霊性、強大なアストラル体こそが、最も重要な要素じゃ。」