第16章 まさか本当に彼女だったとは！

杜遠は顔面蒼白となり、恐怖なのか怒りなのか、全身が震え始めた！

趙剛は目を見開いて呆然とし、表情も緊張気味になった。

「杜...杜若旦那、冗談はやめてください。彼女が...彼女が顔若雪であるはずがない...」趙剛は汗を拭いながら、強引に言った。

「そうよ、秦玉が顔家のお嬢様を知っているはずがないわ。杜若旦那、見間違えたんじゃないの？」蘇妍は更に不思議そうに言った。

杜遠は冷たい目で彼らを見て、言った。「この目で見たんだ。江城市の市長が彼女に酒を注ぎ、楚州戦区の統領が彼女と談笑していたのを。どう思う？」

この言葉を聞いて、趙剛の顔は土色になった！酒杯を持つ手も、微かに震え始めた。

「ありえない、絶対にありえない！」蘇妍は歯を食いしばって言った。

「秦玉はただの役立たずよ。彼が顔家のお嬢様を知っているはずがないわ！」

杜遠は冷笑して言った。「彼らがどうやって知り合ったかは知らないが、自分の身の安全を祈ることだな。」

その言葉を残し、杜遠は踵を返して立ち去ろうとした。

その時、趙剛は急いで杜遠の手首を掴んだ。

彼は震える声で言った。「杜...杜若旦那、助けてください...さもないと...さもないと私は終わりです...」

杜遠は冷笑して言った。「助ける？なぜ私が君を助けなければならない？それに私にそんな資格があるとでも？京都の連中のやり方を、知らないわけじゃないだろう？」

「杜若旦那、どうか助けてください！私たちは友達じゃないですか！」趙剛は杜遠の腕を必死に掴んでいた。

「友達？」杜遠は冷笑を浮かべた。

「君は誰だ？私は君を知らないぞ。私から離れてくれ！」杜遠は趙剛の腕を振り払い、振り返ることもなく立ち去った！

趙剛はソファーに崩れ落ち、豆粒ほどの汗が額を覆っていた。

「あなた、心配しないで。もしかしたら...もしかしたら杜遠が見間違えたのかもしれないわ...」蘇妍は小声で慰めた。

「馬鹿を言うな！」趙剛は歯を食いしばった。

「全てお前のせいだ！お前がいなければ、私は顔お嬢さんを怒らせることもなかった！」趙剛は蘇妍の頬を激しく平手打ちした！

蘇妍は頬を押さえ、一言も発することができずにそこに座っていた。

趙剛は深く息を吸い、無理やり冷静さを取り戻した。