広い場所に来ると、天空から落ちる幾筋もの雷光を食い入るように見つめていた。
彼らの瞳は恐怖に満ちていた!
このような天を揺るがす光景を、彼らは見たことがなかったのだ!
さらに、気配が極めて恐ろしい強者たちが数人、雷光を見つめ、息を殺していた。
恐怖が彼らの心に広がっていく。
彼らにはよくわかっていた。このような異変を引き起こせるのは、必ず絶世の強者に違いないと!
彼らの力をはるかに超える強者だと!
まさか江南省にまた強者が現れたのか?
休憩所にいた華夏武道局の数人は、眉をひそめた。
広場で葉辰を非難した老人が、スマートフォンを取り出してこの光景を撮影しようとした瞬間。
突然、彼の携帯は制御不能となり、シャッターを押した瞬間、極めて強い灼熱感が全てを貫いた。
「バン!」
次の瞬間、携帯は爆発した!
携帯の部品が彼の両目に飛び込んだ!
「あぁっ!」
悲鳴が薬王谷全体に響き渡った。
強者の異相を、この世の虫けらごときが覗き見れようか?
……
同時刻、薬王谷の奥深くにある一軒の藁葺き小屋。
仙人のような風格を持つ老人が足を組んで座っていた。この人物こそが華夏薬盟最強の丹薬師!
丹薬を練る技術が極めて高いだけでなく、武道の実力も華夏宗師ランキングのトップ10に入るほどだ!
もちろん、華夏宗師ランキングに彼の名前はない。彼はそのような虚名など気にしていなかった。
ただひたすらに修練に励んでいた。
この時、彼は目を開き、濁った瞳に一筋の光が閃いた。
その光の後には驚愕の色が!
「薬王谷にどうしてこのような強者が?江南省が変わったのか?それとも、華夏が変わったのか?」
丹房の中。
項承東は異変に気付き、目を開くと、完全に呆然となった!
全身を雷電に包まれた葉辰を見て、「ドサッ!」と音を立てて、その場に跪いた!
華夏薬盟理事長だろうが、宗師だろうが、もはや気にならない!
この瞬間、彼はただ生きることだけを願った!
彼も世間を知っているつもりだったが、この瞬間、全ての経験が泡沫のように思えた!
彼は目の前の若者が、まさに神尊だと感じた!
一念で彼を灰燼に帰すことができる神尊だと!
葉辰は項承東が跪くのを見て眉をひそめ、足を踏み出すと、気流が渦巻き、項承東の体が宙に浮いた!
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