葉辰はポケットから携帯電話を投げ出した。これは米国人から手に入れたもので、中身は百里氷にとって役立つはずだった。
百里氷は無意識に葉辰が投げた携帯電話を受け取り、眉をひそめた。
彼女は一目でこの携帯電話が米国の特殊な機種だと分かった。
問題は葉辰がどこでこれを手に入れたのかということだ。
彼女はそれ以上考えることなく、直接出口へ向かった。
本部に直ちに報告しなければならない。この件は余りにも重大だからだ。
外にはまだ喬正虎の部下がいると思っていたが、外に出た時、彼女は立ち尽くした。
「これらの者たちが全て葉辰によって倒されたというの?」
百里氷は思わず口を押さえた。
突然、彼女の瞳が縮んだ。血の付いた数枚の葉を見つけたのだ。
いくつかの葉は地面に数センチも食い込んでいた!まるで打ち込まれた鉄片のように!
「これは……葉を使った殺傷技?」
百里氷は葉辰が強いことを知っていたが、これは常軌を逸していた。
当時の光景など想像もできなかった。
この集団がどれほど絶望的だったことか!
彼女は徐定峰が事件に巻き込まれる前に武道宗師という言葉を口にしていたことを思い出した。
もしかして葉辰は武道宗師なのか?華夏にこんな若い宗師がいるのだろうか?
……
その時、葉辰は徐定峰を連れ、エレベーターの認証を通過して地下三階へと直行した。
葉凌天からの情報によると、真の黒幕は地下三階にいて、上層階は人目を欺くための存在に過ぎなかった。
「ディン」
エレベーターのドアが開いた。
エレベーター前で警備していた数人の古流武術家が徐定峰に挨拶しようとした。
しかし徐定峰が入口で倒れているのを見た。
彼らは顔色を変え、腰のトランシーバーを押そうとした瞬間、エレベーターから大きな手が伸びてきた。
「バキッ!」という音と共に、体が床に倒れた。
残りの者たちも瞬時に戦闘能力を失った。
葉辰は中へと進んでいった。
彼の通り道は惨状を呈していた。
葉辰はまるで戦争マシンのようだった。
気付かぬうちに、彼のアルマーニのスーツは血で染まり、まるで血の海から這い出てきたかのようだった。
……
同時刻。
地下三階の最深部。
数人の老人が座って修練していた。
気配は重々しかった。
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