朱雅は葉辰を一瞥し、美しい瞳を輝かせながら淡々と言った。「まだ時間も早いし、コーヒーでも飲みに行かない?言っておくけど、私は今まで男性をコーヒーに誘ったことなんてないわ。女の子の誘いを断るなんて紳士的じゃないわよ」
朱雅がそう言ったのは、目の前の男性に強い好奇心を抱いていたからだ。
本来なら、葉辰の身分では彼女の興味を引くことはなかったはずだ。
たとえ葉辰が武道の実力が高く、江城一の人物だとしても、彼女の目には大したことではなかった。
しかし百里氷の言葉から、彼女は葉辰についての多くのことを知った。
さらには葉辰が龍魂の総教官だということも!
上層部の人間が理由もなく圧力を押し切ってこんな突飛な決定を下すはずがない。
明らかに、葉辰は華夏がそこまでする価値のある人物なのだ。
彼の価値は全てを賭けるに値する!
その理由こそが、朱雅が興味を持っている部分だった。
彼女は葉辰について徹底的に調査までさせた。
5年前は、誰もが軽蔑する無能者だった。
5年後には、龍魂の強者たちを従えるまでになった!
この5年間、葉辰は一体どこにいたのか?
「いいだろう」
葉辰は当然断るわけにはいかなかった。朱子萱の言葉によれば、現在、斬龍剣の材料を手に入れる唯一の方法は朱雅を通すしかないのだから。
しばらくして、二人はあるコーヒーショップの2階に着いた。
静かな雰囲気の店内だった。
向かい合って座る。
朱雅は目の前のコーヒーをかき混ぜながら言った。「朱家に来たということは、何か求めることがあるんでしょう?」
葉辰は眉を寄せ、興味深そうに尋ねた。「随分と直接的だな。もしそうでなかったら?」
「この数日間は朱家の族会の期間で、この周辺には朱家の者しかいないはず。なのにあなたがここにいるということは、朱家に何か用があるということじゃないの?」
「私、朱雅はいつもこうストレートなの。言って、何が必要?できることなら助けるわ。百里氷のためにも、できる限りのことはするつもり」
相手がここまで率直なら、葉辰も遠回しにする必要はないと考え、言った。「朱家が昔作った剣があると聞いている。その剣の原材料が必要なんだ」
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