第171章 江南へ！（推薦票募集中！）

しかし、すぐに彼女の笑顔は消え、目が赤くなった。

彼女は急いでコートを手に取って羽織り、葉辰と孫怡に言った。「江南省に戻ります。」

そう言うと、リビングから姿を消し、外へと向かった。

夏若雪が去ってしばらくしてから、葉辰と孫怡はようやく我に返った。

孫怡は立ち上がり、玄関を見に行き、困惑した様子で葉辰に言った。「葉辰くん、若雪に何かあったのかしら？バッグも持たずに出て行ったわ。」

葉辰の瞳は重々しく、しばらく付き合ってきて、彼も夏若雪のことをよく理解していた。

夏若雪をここまで動揺させるのは、きっと極めて深刻な事態が起きたに違いない。

もしかして江南省の夏家に何かあったのだろうか？

葉辰はバルコニーに出て、葉凌天に電話をかけた。

江南省は葉凌天の縄張りだ。この件について彼に聞くのが最善だろう。

「殿主？」

「最近、夏家に何があったのか調べてくれ。情報が入り次第、すぐに報告してくれ。」と葉辰は言った。

「はい、殿主！」

電話は切れた。

葉辰はポケットからタバコを取り出し、一本に火をつけて口に咥えた。一服吸ったところで電話が鳴り、彼は手にしていたタバコを消した。

「殿主、調査によりますと、夏家の夫妻が老人を連れて江南省第一病院に行きました。おそらく夏若雪の祖母に何かあったようです。」

葉凌天の言葉を聞いて、葉辰は眉をしかめた。誕生日パーティーの日、夏若雪の祖母は元気そうで、大きな病気もなかったはずだが、どうして突然具合が悪くなったのだろう？

とはいえ、年齢を考えれば体調の変化は避けられないことだ。葉辰はそれ以上深く考えなかった。

そのとき、葉凌天は続けて言った。「殿主、他にもいくつか報告すべきことがございます。」

「言え！」

「秦家が峨眉山から戻ってきました。誕生日パーティーの件は必ず彼らの耳に入るでしょう。その時、殿主に対して何か仕掛けてくる可能性があります。」

葉辰は両手を背中で組み、江城の景色を見下ろしながら言った。「江城はやはり小さすぎるな。こうしよう、明日の朝、江南省に行く。」

彼の境地は今ではほぼ完成に近づいており、輪廻墓地の墓碑にも微かな反応が出始めていた。おそらくここ数日のうちに引き寄せられるだろう。

江南省に行くべき時が来たのだ。

予定より早まったが、悪いことではない。

葉凌天は心の中で喜んだ！