第25章 知人に会う！

……

孫怡は葉辰を連れてアルマーニブランド店の前で立ち止まった。

正直なところ、彼女は葉辰にここで服を買ってあげたいと思った。結局、男性が着ていく服は面子だからだ。

もし葉辰がこのような服を着ていれば、自然と人々は彼を軽視しないだろう。しかし、店内の価格を考えると、彼女は躊躇してしまった。

この数年間、華美グループで必死に働いて車とマンションを買い、彼女の貯金はそれほど多くない。もし葉辰にここの服を買ってあげたら、本当に手持ちがなくなってしまう。

入るべきか入らざるべきか？

葉辰も孫怡の躊躇を察知し、その店を一目見て理解した。

かつて没落した家族の若旦那だった彼は、当然アルマーニの紳士服を知っていた。

来る時、孫怡は今日は何でも彼女が奢ると言っていた。きっと孫怡は彼に店内の服を買ってあげるべきかどうか悩んでいるのだろう。

「行こう。僕はこういうブランドの服は好きじゃないんだ。隣のアディダスがセール中だし、スポーツウェアの方が良いと思う。快適だしね。それに、僕たち知り合って数日しか経ってないのに、なんでこんな高価なものを買ってくれるの？まさか僕を囲おうとしてるの？」

葉辰は言い終わると前に歩き出したが、数歩も進まないうちに孫怡に引き戻された！

「でも、私はあのマネキンが着てる服をあなたに着せてみたいの」

「必要ないよ。ただブランドタグが付いてるだけだし、隣の店にも似たようなのが……」葉辰は困ったように言った。

「でも……」

孫怡と葉辰が議論している時、彼らの後ろから驚きの声が聞こえた。

「孫怡！あなた？」

孫怡はその声を聞いて、少し体を固くし、振り返ると、かなりおしゃれな女性を目にした。

その女性を見た時、孫怡の表情は明らかに良くなかった。

葉辰ももちろんこの女性に気付いた。容姿は悪くないが、孫怡と比べると段違いに劣っていた。

そして偶然にも、この人物も彼は知っていた。

葉辰と孫怡の高校の同級生、何倩だった。

葉辰がこれほど覚えているのは、何倩が楚淑然の取り巻きで、当時クラスでは事あるごとに葉辰に嫌がらせをし、口を開けば葉辰のことを「ダメ人間」と呼んでいたからだ。

今、何倩の隣にはブランド物を身にまとったハンサムな男性が立っており、その男性の目は孫怡の胸元を貪るように見つめていた。