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第32章 霊視

 クラインは一杯、あるいはひと塊と言った方がいいかもしれない、その紺色のねっとりした液体を眺め、ごくりと唾を飲んで尋ねた。

 「このまま飲めばいいのですか?」

 「他に準備は? 儀式や呪文、それに祈祷とか。」

 ニールは「はあ」と一声ついた。

 「準備? あるぞ。まずインディスのアウルミアワインを一杯、デイシーシガーを一吸い、優雅な旋律を一節歌い、軽快な宮廷舞踊をひと踊りしたら、お望みならタップダンスでもいいし、最後にグウェントゲームを一局……」

 クラインが呆れたような表情になっていくのを見て、ニールはハハと笑うと、こう付け加えた。

 「お前さんが緊張しているならな。」

 ……また冗談か……クラインの口角がぴくぴくと動く。銃を取り出したい気持ちをなんとか抑えこんだ。

 彼はステッキを置き、右手を差し出すと、まるで重いものでも持つかのように、ポーションの入ったコップを持ち上げた。ポーションの匂いはあっさりしていて、ほとんど無臭だった。

 「若者よ、ためらうな。ためらうほど緊張し、緊張するほど恐怖が増す。そして恐怖は、ポーションの吸収に影響を与える。」ニールはクラインを背にして、あしらうように言った。

 彼はいつの間にか水場の方まで移動しており、蛇口をひねると、ジャバジャバと両手を洗った。

 クラインは黙って頷くと、深く息を吸い、小さい頃鼻をつまんで薬を飲んだ時のように、不透明のコップを口元に運び、上を向いて一気に飲み干した。

 ひんやりとしながらぬるぬるした感触が口いっぱいに広がる。そして食道を通って胃袋へと入っていった。

 ねっとりした紺色の液体はまるで細長い触手を伸ばしているかのようで、その冷たさと刺激が一瞬、クラインの細胞ひとつひとつへと浸みこんでいく。

 身体が思わず痙攣し、目の前の景色が素早くぼやけていく。すべての色が深みを増し、赤はより赤く、青はより青く、黒はより黒く、色彩を増し、まるで印象派の油画のように、ぐちゃぐちゃと混じり合っていく。

 このような光景は前にも見たことがあった。「霊能者」デイリーが尋ねた時の光景だ。

 この瞬間、彼の視線は定まっていなかった。しかし意識ははっきりとしており、まるで海上を漂う遭難者のような気分だった。

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