「人を殺す?」秦玉は思わず眉をひそめた。
これには少し驚いた。
これまで、方悦はずっと穏やかな性格に見えた。
今日のような冷たい態度は、本当に初めて見た。
「誰を殺すのか言ってみろ」秦玉は頷いて言った。
方悦は重々しく言った:「一人目は景世宏。二人目は畢囯倉。この二人は今日戦場に向かう」
「景世宏...景路の父親か?」秦玉は推測した。
方悦は少し驚いて言った:「どうしてご存知なのですか?」
秦玉は笑って言った:「推測だよ。それで...なぜ彼ら二人を殺したいんだ?」
これに対して、方悦は答えなかった。
しかし彼女の表情は、少し苦しそうだった。
秦玉はこの件が口にしづらいものだと察し、話題を変えて言った:「彼ら二人は...どのくらいの修為なんだ?」
方悦は秦玉を一瞥して言った:「大宗師の頂点を長年維持しており、実力は非常に強く、中原地帯でもかなりの名声がある」
「大宗師の頂点か...」秦玉は顎を撫でた。
秦玉の現在の修為では、二人の大宗師の頂点を短時間で倒すのは、かなり困難だった。
一度大きな戦いになれば、きっと目標が露見してしまうだろう。
「引き受けよう」しかし考えた末、秦玉は最終的に承諾した。
方悦は深く息を吸い、拱手して言った:「では秦兄さん、よろしくお願いします」
秦玉は笑って言った:「こちらこそ感謝すべきだ」
何が起きたのかは分からないが、方悦の表情から見て、おそらく深い恨みがあるのだろう。
「それにしてもこの帽子...色を変えることはできないのか?」秦玉は頭を掻いた。
緑色の帽子を頭に被るのは、あまりにも目立ちすぎる。
方悦はくすくす笑って言った:「できません」
「秦兄さんはなぜそんなに気にするのですか、今時の若者は、こんなことを全く気にしませんよ」
秦玉は頭を掻きながら言った:「主に目立ちすぎるんだよ...」
方悦は手を広げて言った:「それなら私にも方法がありません。どうしても嫌なら、被らなければいいじゃないですか」
「やっぱり被っておこう」秦玉は呟いた。
彼は帽子を頭に被り直した。言われてみれば、かなりかっこよく見える。
「それにしても、なぜあなた自身は参加しないんですか?」秦玉は方悦に向かって尋ねた。
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