「早く取って、早く取って!」
小魚はもはや蠱虫を見る勇気もなく、慌てて目を覆い、後ずさりを続けた。
秦玉は蠱虫を武おじさんに渡し、深刻な声で言った。「武おじさん、これは西南から来た蠱虫のはずです。」
武おじさんは秦玉の手の中の蠱虫を厳しい表情で見つめ、重々しく言った。「こんな小さな虫二匹が、まさかこれほど恐ろしいとは。」
秦玉は笑って言った。「西南には蠱虫を使う達人が多いですから、これは大したことではありません。」
「誰かを怒らせていないか考えた方がいいですよ。」秦玉は真剣な表情で言った。
武おじさんは苦笑いして言った。「私の立場では、誰かを怒らせずにいられると思いますか?」
それは確かにその通りだった。この地位まで上り詰めるには、どれだけ多くの人を踏み台にしたことか。
小さな陸樹明でさえ敵だらけなのに、戦区の指導者ともなれば尚更だ。
秦玉は手に霊火を灯し、二匹の蠱虫を灰にした。
「これからは大丈夫でしょう。」秦玉は顔色の青ざめた小魚を見た。
この出来事は、彼女にかなりの影響を与えたに違いない。
「武おじさん、時間があったら子供と過ごしてあげてください。」秦玉は小魚を見ながら言った。
武おじさんは頷いて言った。「ええ、そうします。」
「他に用がなければ、私は失礼します。」秦玉は武おじさんに挨拶をして、その場を去った。
ホテルに戻った後、秦玉は長い間眠れなかった。
頭の中は自分の体内に流れ込んだ黒い気だけで一杯だった。
秦玉は自分の手のひらを見下ろし、小声で呟いた。「本当に私は陰気を吸収できるのだろうか?」
この瞬間の秦玉の心は非常に複雑で、喜びと不安が入り混じっていた。
喜ばしいのは、修行が霊気を借りる以外にもう一つの方法を得たことだ。
不安なのは、陰気修行を行う者は、通常ろくな者ではなく、最後は良い結末を迎えないということだ。
「本当に困ったものだ。」秦玉は無力に首を振った。
彼はこれ以上考えることをやめ、一歩一歩進むことにした。
翌日。
秦玉は外出して、ついでに薬材を探そうと考えていた。
そのとき、韋明から電話がかかってきた。
彼は電話で笑いながら言った。「秦さん、前回薬材を探しに連れて行くと約束しましたが、今晩時間ありますか?」
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