第48章 顔若雪の変化

秦玉の言葉を聞いて、雷虎は明らかに失望の色を見せた。

養元丹で事業転換を図ろうとしていたのに、他の取引先に渡してしまえば、その優位性は失われてしまう。

心の中ではそう思っていたが、雷虎は何も言わず、ただ頷いて承諾した。

秦玉は雷虎の考えを見抜き、笑って言った。「心配いらない。養元丹の総代理権は永遠にあなたのものだ。」

雷虎はそれを聞いて、すぐさま大喜びし、急いで頷いて「ありがとうございます、秦さん！」と言った。

雷虎はすぐにこのニュースを広めた。

たちまち、江城中がこの件について噂をしていた。

...

顏家荘園。

いつも冷たい態度の顔若雪が、今日はエプロンを着けて、小さな歌を口ずさみながら、キッチンで楽しそうに忙しく立ち回っていた。

「お嬢様、どうぞお休みください...」周りには大勢の人が集まり、彼らは心配そうな表情で、顔若雪が怪我をしないかと気をもんでいた。

秘書も苦笑いしながら言った。「お嬢様、こんな粗末な仕事をなさるべきではありません。このような事は私たち使用人にさせてください...」

しかし顔若雪は全く気にせず、料理をすることがこんなに楽しいものだとは初めて気づいた！

そのすべての理由は、今夜秦玉が食事に来るからで、顔若雪が自ら料理を作ることにしたのだ。

夜。

顔若雪は丹念に部屋を飾り付けた。

薄暗い照明、テーブルいっぱいの料理、そして82年物の赤ワイン一本。

使用人たちは全員顔若雪に追い出され、広い部屋には秦玉と顔若雪の二人だけが残された。

「これ...全部君が作ったの？」秦玉は少し信じられない様子だった。

顔若雪のような裕福な家の令嬢が、どうしてこんなに器用なのだろう？

「早く味見してみて、どう？」顔若雪は期待を込めて言った。

秦玉は急いで箸を取り、食べ始めた。

最初の一口で、秦玉の顔は青ざめた。

これは酷い不味さだ！

「美味しい？」顔若雪は目を輝かせ、興奮気味に尋ねた。

顔若雪のこの期待に満ちた表情を見て、秦玉は彼女の気持ちを傷つけたくなくて、渋々言った。「う...うまい、すごく美味しい...」

「本当？！」普段は冷酷で決断力のある高嶺の花が、今は少女のように興奮していた！

「本当だよ！」秦玉は力強く頷いた。

「じゃあ、もっと食べて！」顔若雪は笑顔で言った。

秦玉：「...」