第348章 1000年の雪蓮

「今すぐ秦玉を表に出すのですか？少し急ぎすぎではないでしょうか？」執事は眉をひそめた。

「秦玉の実力は確かに良いですが、まだどの家族にも対抗できるほどではありません。」

顔お爺さんは両手を後ろに組んで、淡々と言った。「彼を表に出さなくても、誰かが目をつけると思うかね？」

「物事は完全に自分の手の内に収めることはできない。それなら流れに任せた方がいい。」

顔お爺さんの言う通り、秦玉の出現は顔お爺さんの計画を狂わせていた。

秦玉が顔家に来た瞬間から、この名前は人々の記憶に刻まれていた。

「私の言った通りにしなさい」顔お爺さんは手を振った。

執事は言った。「はい、ご主人様。では、いつにしましょうか？」

「三日後にしよう」顔お爺さんは言った。

「承知いたしました」執事は頷いて答えた。

この時、秦玉は顔若雪と一緒に料理をしていた。

秦玉の料理の腕前は相当なもので、以前蘇家にいた時にたくさんの料理を作っていた。

しかし今日は、顔若雪は秦玉に手を出させなかった。

退屈した秦玉は、キッチンの中をうろうろし始めた。

顔家のキッチンには様々な設備があり、これらの設備のほとんどは食材の鮮度を保つためのものだった。

その時、秦玉は透明なガラスの瓶の中に、一株の雪蓮が入っているのを見つけた。

この雪蓮は様々な薬液に漬けられていたが、秦玉はこの雪蓮の非凡さを感じ取ることができた！

誇張なく言えば、この雪蓮の薬効は、秦玉が今まで見たどの雪蓮よりも優れていた！

「千年雪蓮？」秦玉は眉をひそめ、顔に驚きの色を浮かべた。

このような聖なる物を、キッチンに置いておくなんて？まさに宝の持ち腐れだ！

「それは誰かがお爺さまに贈ったものよ」この時、顔若雪は秦玉の視線に気付いた。

秦玉は感嘆して言った。「千年雪蓮か、本当に想像を超えている。私が見た中で最高の薬効を持つものでも、六百年のものだった。」

顔若雪は目を瞬かせて言った。「欲しい？」

秦玉は苦笑して言った。「こんなもの、欲しくない人がいるでしょうか。」

顔若雪はそれを見て、つま先立ちになって棚から雪蓮を取り出した。

「欲しいなら持っていって」顔若雪はその雪蓮を秦玉に渡した。

秦玉は驚いて、急いで首を振った。「それはできません。顔お爺さんが知ったら、私が欲張りだと思われてしまいます。」