その老人たちは葉辰が黙っているのを見て、焦りだした。「若い方、これは私たちにとって非常に重要な事なのです。正直に教えていただけませんか」
葉辰は目を細め、当然ながらこの人々に話すわけにはいかなかった。「あなたたちの背後にいる人と話をしよう」
この言葉を聞いて、全員ようやく気づいた。確かに彼らは焦りすぎていた。このような重大な事を彼らに話すはずがない!
麻雀で勝った老人の一人が急いで葉辰に言った。「若い方、こちらへどうぞ」
「ええ」
葉辰は老人についてエレベーターに乗り、10階で降りた。エレベーターを出ると、部屋番号001のスイートルームの前に来た。
老人がそっとドアをノックすると、中から女性の慵懒な声が聞こえた。
「どうぞ」
老人は葉辰に言った。「若い方、少々外でお待ちください」
「はい」
001号室の中。
ソファには30歳前後の女性が座っていた。薄いピンク色の体にフィットしたチャイナドレスを着ており、完璧なスタイルをしていた。
曲線美が際立っていた。
女性は老人を見もせずに淡々と言った。「何かしら?」
老人は背中を丸め、頭を下げて、おずおずと言った。「お嬢様、オークションに出品したい方がいらっしゃいます」
「オークションの件なら、あなたの判断で構わないわ」女性は目を閉じたまま言った。彼女の周りには薄い気が漂っており、とても神秘的だった。
「しかし、お嬢様...相手が...相手が持ってきたのは丹薬なのです...」
老人の言葉を聞くと、女性は突然目を開き、驚きの色を浮かべた。「丹薬?本当なの?」
老人は急いで葉辰の丹薬を差し出した。女性は指を空中で動かすと、丹薬が彼女の手に吸い寄せられた。彼女は美しい目で一瞥すると、すぐに驚きの声を上げた。「確かに丹薬ね。しかも色から判断すると、製造されてから1ヶ月も経っていないわ」
「お嬢様、私もそう思いました」
「この丹薬の持ち主は外にいるの?年配の方?」女性が尋ねた。
「いいえ、20歳くらいの若者です」
「中へ通して」
「はい」
……
まもなく、葉辰はスイートルームに案内され、老人は退出した。
彼の視線はすぐにソファに座るチャイナドレスの女性に向けられ、少し驚いた。夏若雪の話によれば、この女性がこのオークションの裏の実力者のはずだった。
Apoie seus autores e tradutores favoritos em webnovel.com