第44章 隠された答え
ローランが城に戻った時には夜も更け、外では雪が再び激しく降り始めていた。
彼は寝室に入り、上着を脱ぎ、襟元に積もった雪を払い落として、暖炉の横の衣架に掛けた。
「殿下、このことを急ぎすぎではないでしょうか？」
ナイチンゲールが王子の前に姿を現した。
「ナナワのことか？」ローランは自分と相手のためにビールを注いだ。このビールは後世のものと比べると苦みが強かったが、彼はすでにその味に慣れていた。
ナイチンゲールはコップを受け取り、手に持ったまま飲もうとしなかった——彼女は王子の答えを待っていた。
「今以上に適した時期はない」ローランは一気に飲み干し、再び自分のコップを満たした。「邪魔の月にナナワの能力を発揮させるためには、魔女としての正体を隠し続けることはできない。致命傷を瞬時に治療できるというのは、普通の薬草や瀉血療法では不可能なことだ。それは誰にでも分かることだ。」
「西境界の外にあるこの、あってもなくてもいい小さな町のおかげで、教会の影響力はここではかなり限られている——私が彼らなら、いつでも見捨てられる可能性のある場所にゴールドドラゴンを無駄遣いしたくはないだろう」ローランは続けた。「町には小さな教会すらなく、伝道師たちは貴族と共に早々に長歌要塞へ戻ってしまった。今の辺境町は何に似ていると思う？外界との繋がりを断たれた孤島だ。」
「……これは殿下が前から計画されていたことですか？」ナイチンゲールは尋ねた。
ローランは頷いた。「大雪は長歌要塞への道を埋め尽くし、ドックの船の運航は私の手中にある。私たちには少なくとも三ヶ月の時間がある。『魔女は邪悪な存在である』という考えを覆すために。単なる宣伝だけでは効果は極めて限られている。この誤解を素早く解消するには、近距離での接触が必要不可欠だ。」
これこそが、彼がどうしてもナナワを留めておきたかった理由だった。彼は異世界版のナイチンゲールを作り出したかったのだ。
この伝説的なナースは、負傷者を献身的に看護し、死亡率を42%から2%にまで激減させたことで、戦士たちから提灯の女神と呼ばれ、ナース職全体の評価を崇拝のレベルにまで引き上げた。
そしてナナワの能力はさらに驚異的で、魔力で傷を癒すことができ、その場で死亡していなければ、誰でも命を救うことができる。これは義兵隊の士気を高めるのに、どんな武器よりも効果的だろう。
同時に、彼女の父親が没落貴族だったおかげで、普段から猟師や農民と付き合いがあり、庶民に対する態度も非常に穏やかで、ナナワがカール先生の開いた学院で学ぶことさえ許可していた。他の貴族なら、たとえ最も位の低い男爵でさえ、自分の娘がこういった人々と関わることを喜ばないだろう——彼らの目には、これらの人々は所謂下層民なのだから。
「これらのこと……本当にできるのでしょうか？」ナイチンゲールでさえ、教会という巨大な存在の前では特に無力に見えた。
「この一歩を踏み出さなければ、答えは永遠に分からない。」
ローランは町中の人々全員がこれによって考えを変えることを期待してはいなかったが、少なくとも自分が新しく組織したこの部隊はしっかりと掌握しておく必要があった。そして将来的には、民衆の中から生まれたこれらの種子を頼りに、自分の思想を広めていくのだ。
三ヶ月の時間があれば、多くのことを変えることができる。
ナイチンゲールは暫く黙っていたが、やがて小声で言った。「なぜ殿下は魔女のためにここまでなさるのですか？」
生産力を解放するため、より強大な力を得て、将来の玉座争奪令で一席を得るため——もちろん、これらの答えは今語るべきではなかった。ローランは機械オタクではあったが、様々なギャルゲーもたくさんプレイしており、かなりの経験を積んでいた。二つの人生で二十数年の経験が、今まさに重要な質問への回答に直面していることを彼に警告していた。
彼は言葉を慎重に選びながら、ゆっくりと答えた。「私は前から言っているだろう？辺境町は出自を気にしないと。私は、いつの日か魔女でさえも、私の領地で自由民として生活できることを望んでいる。」
今回、ナイチンゲールの沈黙は長く続き、部屋には炭火が燃える音だけが響いていた。彼女の横顔は、明滅する炎の光の中で、まるで絶世の美しい絵画のようだった。
彼女が再び口を開いた時、ローランは時間が再び流れ始めたような錯覚を覚えた。「実は殿下がそこまでなさる必要はないのです」彼女の声は遠く柔らかだった。「以前、私が殿下に嘘をついていたことをお詫びします……共助会の姉妹たちは長い間さすらってきました。彼女たちには大きな望みはなく、たとえこの城の中であっても、身を寄せる場所があれば満足なのです。」
「それでは牢獄と何が違う」ローランは首を振り、突然何かに気付いたかのように目を見開いてナイチンゲールを見つめた。「待て……つまり、君は彼女たちを連れてくることを承諾したということか？」
ナイチンゲールはため息をつき、王子の視線を避けた。「これでは、殿下は教会と敵対することになります。」
「彼らの手はすでに長すぎる」ローランは意に介さない様子で言った。「君権神授のスローガンが出た以上、教会と大陸の各国が衝突するのは時間の問題だ。辺境町に関しては、この三ヶ月を無事に乗り切れば、彼らにできることはそう多くない。ここは教会の本部から千里も離れている。主教が大部隊の審判軍を率いて灰色城を横断して、私を討伐しに来るとでも？私の父である王家がそんなことを許すはずがない。それは王家の威厳に対する重大な挑戦となる。」
「……」
ナイチンゲールが礼をして去った後、ローランはベッドに倒れ込み、大きく息を吐いた。
彼が言わなかったことがある。教会は千里も離れており、この世界の情報伝達速度では、事態を把握するのは春の終わり以降になるだろう。遠い道のりと自分が王子という身分であることを考えると、相手が取る最も可能性の高い行動は、使節団を派遣して状況を確認することだろう。
そうなると往復で半年近くかかる。その頃には、自分は彼らと決別できるだけの力を持っているはずだ。
したがって、最大の懸念は教会ではなく、魔女そのものにあった。
この点は、ローランにしか見えていなかった。
現在、魔女は劣勢に立たされているが、この状況が永遠に続くことはない。魔女は血統による伝承に頼らず、規則性のない無作為な覚醒によって生まれる。これは魔女が完全に根絶されることはあり得ず、むしろ増え続けることを意味している。
教会は神罰の石によって魔女に対する優位性を保っているが、その優位性は魔力を相殺できるだけだ。現状を見る限り、魔女覚醒は彼女たちに様々な能力を与えただけでなく、身体能力、思考反応、さらには容姿までもが一般人を超える傾向にあった。
彼女たちは本質的に、すでに「新人類」と呼べる存在だった。
抑圧が残酷であればあるほど、反抗も激しくなる。魔女たちだけによって導かれた暴動が起きた時、灰色城にどれほどの破壊をもたらすだろうか？教会によって育まれた憎しみは、一度制御を失えば、王国の全子民に対する無差別な憎悪へと変わる可能性が非常に高い。
ローランはそのような事態を見たくなかった。
そのため彼は辺境町から始めて、両者を包含できる構造を築き上げ、それを灰色城全体に、さらには大陸王国全体に広めていく必要があった。
魔女と一般人が共存できる世界を。