第329章 薬神閣

銭一鳴の顔色が微かに変わり、目の前の江古を見つめながら、眉をひそめて言った。「お前が江古だって？冗談じゃないだろう？」

銭一鳴は江古を直接知らなかったが、江古は省都の有名人であり、様々なルートを通じて江古を見たことがあった。

記憶の中の江古は、全くこんな姿ではなかった！

「やはり役者を雇ってきたんだな」銭一鳴は自分の考えを確信した。

彼は立ち上がって秦玉を指差し、「なかなかやるじゃないか。面子のために、役者を雇って芝居を打つとはな？」

江古は眉をひそめて「何が言いたい？」と尋ねた。

銭一鳴は冷笑して「何でもない。もし私の推測が間違っていなければ、お前たちは警備員だろう？」

この言葉を聞いて、省都から訪れていた人々の表情が冷たくなった。

「銭一鳴、発言する時は結果をよく考えた方がいい」秦玉は善意で忠告した。

しかし銭一鳴は動じることなく、さらに嘲笑って「結果？ただの警備員風情に、何ができる？」

「あまりにも失礼だ！」ついに、齊省の秘書が我慢できなくなった！

「どこの部署の者だ？なぜそんなに傲慢なんだ？」

「こんな年まで生きてきて、誰もこんな口を利いてこなかったぞ！」

皆の怒りに対して、銭一鳴は全く気にしていなかった。

彼は嘲笑って「演じろ、続けて演じろ。ただの警備員風情が、きれいな服を着たからって、枝に止まって鳳凰になれると思っているのか？」

「はっきり言ってやる。俺は一鳴不動産の社長、銭一鳴だ！」

「一鳴不動産？よし、覚えておこう」齊省の秘書は冷たく言った。

彼は秦玉を見て「秦さん、この男はあなたの友人ではないですよね？」

「知りません」秦玉はさらりと答えた。

「それならよし」秘書は頷いた。

彼は携帯を取り出し、電話をかけた。

電話が繋がると、すぐに大声で「一鳴不動産という会社の全プロジェクトを停止しろ。今すぐだ、直ちに実行しろ！」

齊省の秘書だけでなく、他の人々も同時に一鳴不動産に対して制裁令を下した。

これらの人々は皆、省都のビジネス界の重鎮であり、小さな一鳴不動産を潰すのは朝飯前だった。

この時の銭一鳴は、まだ事態の深刻さに気付いていなかった。

彼は手を振って「続けて食べて、飲んで！」と言った。

そのとき、突然銭一鳴の電話が鳴り出した。

携帯を見ると、発信者は彼の秘書だった。