第349章 彼の血は、ふさわしくない！（その2）

「どの孽種だ？」

老人は目を凝らし、何か違和感を覚えた。

彼は心の中で何かを察したが、その感覚は不可能だと告げていた。

中年の男は少し奇妙な表情を浮かべた。「ご主人様、我が江家にはどの孽種がいるというのでしょう...」

「江城の葉家の無能者か？」老人が口を開いた。

「はい、ご主人様」

この言葉を聞いて、老人の顔色が青ざめた！

「バン！」

一撃が傍らの机を打ち付けた！

机は蜘蛛の巣のように砕け散った！

数千万の価値がある骨董の茶碗も完全に粉々になった。

茶が飛び散り、老人の衣服を濡らした。

中年の男は老人のこのような反応を予想していたため、表情には諦めが浮かんでいた。

老人は立ち上がり、激怒して叫んだ。「あの孽種が我が江家の者を殺すとは！死にたいのか！どうやらあの域外の物もこいつの手に渡ったようだな」

そのとき、中年の男が割り込んで言った。「ご主人様、そうではありません。徽安省から噂が流れてきましたが、そのものは葉辰の手にはなく、浄道大師の手にあるようです」

老人は眉間にしわを寄せた。「あいつがなぜ関わってきた。ふん！我が江家が欲しいものに、誰も手を出す資格はない。お前が直接あいつと接触しろ！もしそのものを渡さないなら、消してしまえ」

中年の男は動かず、むしろ小声で言った。「ご主人様、まだ話が終わっていません。私には一つの推測があります。事態はそう単純ではないと。浄道大師は佩蓉さんと並々ならぬ関係にあり、この状況で全てを引き受けたのは、明らかにあの孽種を守るためです。域外の物は極めて高い確率であの孽種の手にまだあるはずです」

老人の目に冷たい光と怒りが閃いた。衣服を払いながら冷たく言った。「そうであれば、お前は人を遣わしてあの小僧に吐き出させろ！あんな無能者が触れていい物ではない！」

中年の男はため息をついた。老爺は最後まで江佩蓉一家を許さないのだろう。

この一家の話が出るたびに、冷静な老爺は理性を失った獅子のように変わってしまう。

かつての江佩蓉は掌中の珠のように大切にされていたのに、今では敵のように扱われている。

あの夫婦が幽魂監獄に入れられても、一度も見舞いに行かなかった。

彼らがどんな苦しみを受けていようと、まったく気にかけない。

これが武道界の残酷さなのかもしれない。