「私の手が……私の手がない!」
この瞬間、蔣文林は慌てた!
本当に慌てていた!彼の全身が震えていた!
武道家にとって手を失うことは、殺されるよりも辛いことだ!
この若造は一体どうやってこんなことを?
確かに自分は宗師の境地に入ったばかりだが、閔じじいは既に宗師になって3年経っているのに!
二人がかりでもこの若造を殺せないとは?
しかも相手は片手しか使っていないのだ!
くそっ!
この若造は化け物か!
江城にこんな化け物がいたとは!
無数の恐怖が彼の心を包み込み、逃げ出したかったが、この状況では逃げられるはずもない!
「若様、私が彼を引き付けます。早く逃げてください!競売会場まで行けば、彼も手出しできません!」
そう言うと、閔じじいは気を纏いながら、葉辰に向かって突進した!
蔣文林は何も考える余裕もなく、血を流す腕を押さえながら、路地の外へと走り出した!
その速さは尋常ではなかった!
葉辰は追いかける気配すら見せず、つま先を動かすと、地面に落ちていた短刀が空気を切り裂くように飛んでいった!
「ぷっ!」という音とともに、正確に蔣文林の右足に突き刺さった!
それだけでなく、強大な気の力で、短刀は完全に貫通してしまった!
蔣文林は瞬時にバランスを崩し、地面に倒れ込んだ。
葉辰は閔じじいの攻撃に対し、一掌で相手の一撃を払いのけ、同時に反対の手で相手の首を掴んだ。
「来世では、私に関わるなよ!」
「バキッ!」という音とともに、葉辰は閔じじいの首を捻り切った。
彼は手加減をすることもなく、虎を山に帰すこともしない。
5年前、彼があの場所に着いた時、彼の優しさは彼自身を殺しかけた。
彼は次第に理解した。この世界には、人情の機微も、善意に対する報いもない!ただ弱肉強食があるだけだ!
強ければ、万人が従う!
弱ければ、犬にも舐められる!
今日敵に慈悲を与えれば、明日、敵は残虐に報いてくる!
閔じじいを始末すると、葉辰は蔣文林の前に立った!
蔣文林は背後の影を見て、背筋が凍るような寒気を感じた!
蔣家の二人の高手が死んだ!次は当然彼の番だ!
「お前は…お前は私を殺せない!私は蔣家の三公子だ!蔣元礼の息子だぞ!」
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