第177章 幼い頃から天才_4

彼女の家族全員が出動し、内田雄馬と式島律も来る予定だが、彼らはおそらく時間通りに来るだろう。陽子には友達がいないので、基本的にはこれだけの人数だ。

雪里は陽子を抱きしめ、それから百次郎の方を見た。百次郎は逃げ出そうとしていたが、雪里の視線に捕らえられて半秒ためらった後、いつものように横たわって、お腹を見せながら、犬の顔で媚びるように笑った。

雪里はしゃがんで百次郎を見つめ、口を拭いながら、にこにこと言った。「ワンちゃん、どんどん太ってきたね！」

百次郎は犬の口が耳まで裂けそうなほど笑い、体をさらに縮めて、できるだけ脂肪を隠そうとした——初めて雪里に会った時から彼女を怖がっていて、森の獰猛な獣に出会ったような感じがしていた。

夏織夏沙も寄ってきて百次郎と遊び始めた。彼女たちは犬が大好きだが、冬美が飼うことを許さなかった。秋太郎もくすくす笑いながら手を伸ばしてなでまわした。冬美は北原秀次のそばに立って眉を下げて見ていた。北原秀次は不思議そうに彼女を一目見て、笑いながら尋ねた。「撫でてみないの？」

この小ロブヘッドもやはり少女らしい一面があって、普通の少女なら子犬や子猫が好きなはずだろう？なぜ近寄って遊ばないんだろう？この百次郎という奴も、可愛らしさを売りにして生きているようなものなのに。

冬美は答えずに、代わりに尋ねた。「台所はどこ？」北原秀次は毎日彼女の家に出入りしているのに、彼女は初めて北原秀次の家に来た。食材とケーキを台所に運んだ後、ここをゆっくり見て回るつもりだった。

「あっちだよ」北原秀次は指さした。ここは小さな庭があるだけなので、案内する必要もない。冬美は雪里が背負っていた大きな包みを下ろし、箱を持って直接向かった。北原秀次は春菜に笑いながら尋ねた。「お姉さんは犬が嫌いなの？」

北原秀次は他人ではないので、春菜はそのまま静かに答えた。「嫌いなの。姉さんが四、五歳の時に犬に噛まれて、それ以来犬が大嫌いになったみたい」

「ひどく噛まれたの？」北原秀次は驚いた。そんな不運なことが？

「大したことはなかったの。その犬が姉さんに吠えただけで、本当は何もなかったんだけど、姉さんが怒って蹴ったから噛まれたの。それで母さんが姉さんを連れて予防接種に行ったんだけど、姉さんは注射が怖くて大泣きして、帰ってきたらもっと怒って、注射器を持ってその犬に仕返しに行って、また噛まれちゃったの」

北原秀次の顎がパキッと音を立てて、落ちそうになった。このカリフラワーは本当に天才だな！

まさに幼い頃から天才だった！

彼は急いで聞いた。「それで？」

春菜は雪里の方を見て、「姉さんはまた泣いて帰ってきて、二姉が怒って、こっそりその犬に姉さんに謝らせに行ったみたい。たぶん...うまくいかなかったんでしょうね？その犬を殴って、ドッグリードまで噛み切って、その犬を引きずって帰ってきて、どうしても姉さんに謝らせようとして、家の中が大騒ぎになったの。後でお父さんが見つけて、その犬を隣人に返して謝ったの。隣人も申し訳なさそうで、犬を田舎に送ろうとしたけど、お父さんが止めて、姉さんがいたずらすぎたんで犬は悪くないって言ったの。でもその後、その犬は二姉を見るとすごく怖がって、うちの家族を見ると吠えなくなったわ」

春菜は恥ずかしいとは思わなかった。どうせ姉たちは今でもこんな感じで、北原秀次は全部知っているし、これぐらい話してもいいだろう。「その時私は二、三歳で、秋太郎くらいの年だったと思う。全部母さんが昔話してくれたの」

北原秀次は小ロブヘッドを同情すべきかどうか分からなくなった。しばらく言葉を失った後、この子は小さい頃から自分で災難を招いているなと感じ、もういいや、と思って笑いながら言った。「さあ、春菜、アシスタントを頼むよ！」

春菜は精神を引き締めて、頭を下げて言った。「はい、大将！」