第49章 クズ？

顔若雪は誰かを助けるのは簡単で、たった二三言で秦玉を江城、さらには楚州のトップビジネスマンにすることができた。

しかし、秦玉が京都で成功を収めたいのなら、自分の実力が必要不可欠だった。

顔若雪はこの道理をよく理解していたため、彼女がすべきことは秦玉の障害を取り除くことではなく、安全を確保しながら、秦玉を成長させることだった。

傍らの秘書はため息をつきながら、小声で呟いた。「恋とは本当に毒薬ね...京都の大物である顔若雪が、こんな小さな江城で陥落するなんて、誰が想像できたでしょう...」

...

雷虎がニュースを流してから、江城中がこの件について噂していた。

関連する薬材メーカーだけでなく、実力のある不動産業者までもが割り込もうとしていた。

最近、趙剛は毎日沈雲の側で馬のように忠実に仕えていた。

「沈社長、雷虎はどういうつもりですか？なぜ提携先を公募するんですか？」趙剛は沈雲にお茶を注ぎながら尋ねた。

沈雲は彼を一瞥し、淡々と言った。「おそらくあの老中医の意向だろう。実力のある者は皆、才能を鼻にかけているからな、理解できる。」

趙剛は頷き、お世辞を言った。「そうですね。どうせ江城で沈家より実力のある者なんていませんから。」

沈雲は何も言わなかったが、顔には自負の色が浮かんでいた。

「顔家が参入しない限り、誰が私沈雲と争えるというのか？」沈雲は心の中で思った。

時は飛ぶように過ぎた。

あっという間に、三日目を迎えた。

この日、一号公館の前には高級車が所狭しと並び、多くの富豪たちが待機していた。

「ああ、あの時秦さんの言う通りにしていれば、こんな競争に参加する必要もなかったのに！」杜遠は思わず愚痴をこぼした。

杜恒生もため息をつきながら言った。「私はこの秦玉に本当の実力はないと思っていたが、まさか...ああ、顔家が彼を推す理由が分かるよ。」

二人は後悔していたが、もう遅すぎた。

大広間では、多くの実業家たちが小声で議論を交わしていた。誰も例の老中医が一体どんな経歴の持ち主なのか知らなかった。

そのとき、突然会場が静まり返った。

見ると、沈雲と趙剛の二人が外から入ってきたところだった。

沈雲の到着は、たちまち参加者たちの心に暗い影を落とした。