第87章 すみません、聞いたことがありません！（加筆、推薦票募集！）

江都ビル屋上。

がっしりとした体格の男が双眼鏡を下ろした。

男は丸刈りで、目には狼のような鋭い光が宿っていた。

彼こそが竜魂突撃隊の応擎、地下組織や国際勢力が恐れる竜魂戦狼だった！

今日、応擎は午後に飛行機を降り、百里氷は彼を食事に誘おうとしたが、彼は直接断った。この葉辰がどんな人物なのか見てみたかったのだ。

百里氷の二つの動画を見る限り、この男は極めて危険で、おそらく武術の修行者だろう。

しかし、長時間観察しても、この若者に何の特徴も見出せなかった。

結局一晩中、葉辰が食卓で料理を取るのを見ていただけだった！

くそっ、武術の修行者がそんなことをしていいのか！

葉辰を群衆の中に置いても、誰も彼だと気付かないだろう。

「もしかして見誤ったのか？」

応擎が呟き、地面の箱を拾い上げ、立ち去ろうとした瞬間、殺気が突然現れた。

視界に、手すりに掛かる一対の手が見えた！

手すりが瞬時に変形し、一つの影が飛び上がってきた！

明らかに、その影は約80メートルの高さから這い上がってきたのだ！

高手！

次の瞬間、黒い影がその場で残像を作り、周囲の気流が渦巻き、その人物は既に彼の目の前に現れ、恐ろしい気が押し寄せてきた！

周囲の磁場さえも変化したかのようだった！

応擎は冷たい殺意を感じ、急いで拳を打ち出した！

「ドン！」

応擎は拳を打った直後に後悔した。相手の力があまりにも強大すぎたからだ！千斤もの重さだ！

くそっ！これは何という怪物だ！

彼の腕は極めて恐ろしい力に押しつぶされたかのようで、腕全体が痺れ、五臓六腑が気の波動に打たれた！

なんて強さだ！

躊躇している暇もなく、その影は空中で回転し、鞭のような蹴りを直接振り下ろしてきた！

この一撃が当たれば、間違いなく死ぬ！

応擎は顔を蒼白にし、急いで足を踏み込んで跳躍した。3メートルもの高さまで跳び上がり、攻撃を避けた。

「ガシャン！」

その鞭のような蹴りは容赦なく落下し、屋上のコンクリートに巨大な凹みを作り出した。相手の一撃で大きな穴が開いたのだ！

武道宗師！

しかも普通の武道宗師ではない！

応擎は目を見開いた。江城にいつからこんな高手がいたのか！

彼の体は安定して地面に着地し、即座にその影の正体を見た！

葉辰！

まさか葉辰だとは！