秦玉は薬神閣を直接離れようと思っていた。薬神閣に迷惑をかけたくなかったからだ。
しかし五長老は秦玉の考えを否定し、首を振って言った。「やはり閣主が戻ってくるまで待ちましょう」
「今あなたが去ってしまえば、それこそ薬神閣に迷惑をかけることになりますよ」
秦玉は少し考えてから、頷いて言った。「分かりました。お約束します」
男として責任を取るのは当然のことだ。尻尾を巻いて逃げ出すのは、秦玉のやり方ではない。
その後、秦玉は桃子と共に診療室を出た。
住まいに戻ると、桃子は真剣な声で言った。「閣主が戻ってきたら、私もあなたのために証言します。他の人たちもきっと証言してくれるはずです」
秦玉は微笑んで言った。「そんなに考え込まないで、煉丹に専念しなさい」
桃子は「うん」と返事をして、部屋に戻っていった。
薬神閣の薬材の在庫は極めて豊富で、薬師の練習用の薬材でさえ、数十年の薬効を持つものばかりだった。
百年以上のものでさえ、薬神閣では取るに足らないものとされていた。
「せっかく薬神閣に来たのだから、手ぶらで帰るわけにはいかないな」秦玉は部屋で密かに考えた。
薬神閣の規定によれば、陳隘には練習用の薬材を受け取る権利があった。
そう考えると、秦玉は立ち上がって、貯蔵室へと向かった。
薬神閣の貯蔵室は極めて広大で、近づくだけで濃厚な薬の香りが漂ってきた。
この貯蔵室の入り口には、二人の薬師が登録と薬材の受け渡しを担当していた。
秦玉が前に進み、自分の身分と目的を告げた。
二人の薬師は顔を見合わせ、一枚の用紙を取り出して秦玉の前に置いた。
「秦薬師、まずこちらにご記入ください」二人は丁寧に言った。
秦玉は用紙を手に取り、注意深く目を通した。
この用紙には氏名の他に、受け取る薬材の数量を記入する欄があった。
秦玉はその欄を指さして尋ねた。「一人当たりの受け取り限度はどれくらいですか?」
二人の薬師は笑って答えた。「理論上は制限はありませんが、みなさん通常は八株から十株程度を受け取っていきます」
秦玉は驚愕した!
数量制限がないだと?これは驚きだ。
薬神閣の資源は、秦玉の想像をはるかに超えていた!
「では、まず百株もらおうかな」秦玉はすぐに最後の欄に百という数字を記入した。
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