第318章 漁夫の利！（4更）

その瞬間、千珏山全体が静まり返った。

寒風が吹き荒れ、この方一キロメートルの地が墓場のようになった。

この静けさは、人々を窒息させるほどだった！

涼風が吹き抜けるまで、皆はぎくりとして我に返った。

「ざわっ！」

次の瞬間、場は沸き立った。

李家の者が死んだ。何の前触れもなく、ただ死んだのだ。

たった二手！

葉辰はわずか二手で、徽安省の二人の最高級の強者を斬り殺したのだ！

これは何て奇妙なことだ。

さっきまで死に体だったはずなのに、瞬く間に形勢を逆転させたというのか？

「李家の者は本当に死んだのか？この二人とは切磋琢磨したことがあるが、実力は徽安省最高級ではないにしても、こんなに簡単に殺されるはずがないのに……」

「私の目の錯覚かしら、この死体は……」

「李家の二人が弱すぎたのか、それともあの若者が強すぎるのか？」

「以前、江南省に実力絶大で殺戮を重ねる狩人が現れたと聞いたが、まさかこいつのことじゃないだろうな」

この結果に、皆は目を疑った。

李家の側の数人は息を呑み、恐怖に全身を包まれていた。

あの二人が相手の二手にも及ばなかったとは？

くそっ、冗談じゃない！

安素山は少し奇妙な表情を浮かべたが、それほど驚いてはいなかった。彼から見れば、李家の二人の死は完全に葉辰を軽視したことが原因だった。

葉辰があの宝物を手に入れられたということは、明らかに実力があるということだ。

彼が最初に出手しなかったのは、完全に葉辰が疲弊するのを待っていたからだ。

螳螂が蝉を捕らえ、黄雀が後ろで待つ！

彼はまだ信じていなかった。葉辰が次々と挑む戦いの中で、勝つチャンスがあるとは？

華夏武道局の数人も同じ態度で、彼らは高みの見物を決め込み、出手を急ぐ様子は全くなかった。

葉辰の実力については、彼らは誰よりも熟知していた！

葉辰の猛烈な出手により、しばらくの間、誰も前に出る勇気がなかった！

皆が待っていた！

葉辰は皆を一瞥し、淡々と言った：「皆さんにご意見がないようなら、これで失礼します」

葉辰が立ち去ろうとした時、道服を着た三人の老人が葉辰の前に立ちはだかった。

「我が黄雲観は、噂の江南省第一人の実力がどの程度なのか、ぜひとも拝見したいものだ」

真ん中の老人が口を開いた。彼らは明らかに近くの人々から葉辰の身分を知っていた。