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320章 「眠りの魔法」

湾、眠りの島。

「まさか、"眠りの魔法"の初めての客があなただなんて思いもしなかったわ」ティリは笑みを浮かべて熱々の魚のスープを手渡す。「シャドウ諸島の遺跡を探検する際は、あなたのおかげで助かったのよ」

「お気に入りですよ」レイは魚のスープを受け取る。「あの神秘的な海域に対して、報酬がないにも関わらず何度でも訪れたいと思っています。正直に言って、あそこの魔女がいなければ、シャドウ諸島の東側は探検家にとって絶対に危険な禁止区域となるでしょう」彼はスープを一口すすって、思わず熱い湯気を吹き出してしまう。「ああ……クロオビゴチで煮たスープ、本当に美味しい。」

湾では紅茶もビールも流行らず、彼らの習慣は、暑い夏に冷たい魚のゼリーを食べ、寒くなると煮立つ魚のスープを一杯飲みます。さまざまな魚を煮て出た味もまったく異なり、ティリが眠りの島に来てから徐々に理解した習慣でした。

「だから、あなたは待ちきれずに"眠りの魔法"を訪れたの?」

「正確に言えば、次の探検が待ちきれないんだ」レイは豪快に笑った。「先回遺跡の望遠鏡で見た光景には驚きました。あの土地に何があるのか、なぜ石の扉が崖に現れるのか、すぐにでも飛んで行って確認したいくらいです」

「そうなんだ・・・」ティリも自分に一杯の魚のスープを注ぎ、「あなた、知ってるでしょ?私、辺境の町に自分で行くつもりなの。共助会の領主とちゃんと話しをするつもりだし、ついでに西境の邪鬼の月を観察したいとも思ってるわ。あなたも……一緒に行かない? 」

彼は一瞬沈黙し、その後に皮肉たっぷりに言った。「やめておくよ。彼女はそこできっと元気にしてるだろうから、これで良い。だって探検っていうのは、いつ何が起こるかわからないでしょう?彼女の母親を失ったように、彼女を失いたくはない。その時は、どうかあなたに……」

「承知したよ」ティリは頭を下げ「結局彼女も私たちの一員だから」彼女は微笑んで「でもビジネスはビジネス。あなたが私たちにたくさん助けてくれても、魔女を雇う料金は一覧表通りに支払わないと。」

「もちろん、ビジネスはビジネス。それが湾の伝統だからね」雷鳴は魚のスープを一気飲みして大笑いした。

……

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